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社内政治の教科書
【第10回】 2014年12月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長]

「出世欲」があなたの政治力を弱める!
「あの人の力になりたい」と思われる鉄則

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なかには、「私心」(出世欲、保身など)のために社内政治を行う人もいます。それで、実際に権力を握ることに成功する人もいます。しかし、よほどの実力がなければ、いつかその「座」は崩壊します。誰かの「私心」のために、心の底から力を貸そうとする人はいないからです。やはり、周囲の人が共感を寄せる「大義」がなければ、本物の「政治力」は手に入らないのです。しかし、凡人に「私心」を捨て去ることは難しい。生半可に捨てたフリをしたところで、周りの人はお見通しです。では、どうしたらよいのでしょうか?

「私心」のために力を貸す人はいない

 「動機善なりや、私心なかりしか」

 稲盛和夫さんは、常にこう自らに問いただしてきたそうです。
「安価な電話料金を実現する」という大義を掲げて、第二電電(現KDDI)を立ち上げる際にも、「自分がやろうとしていることは、本当に国民のためを思ってのことなのか? 名を残したいという私心からではないか?」と自問自答。一点の曇りもない心境に立ったときに、はじめて実行に移したといいます。

 だからこそ、第二電電は成功したのでしょう。なにせ、圧倒的強者であるNTTとの競争です。誰かの「私心」のために、力を貸そうとする人はいません。稲盛さんの「大義」に共感を寄せたからこそ、社員は力を合わせて、NTTとの過酷な競争に挑むことができたのでしょう。また、その「大義」に偽りがなかったからこそ、国民からの支持を得ることができたのだと思います。

 私心を捨てる──。
 これは、課長として社内政治を生き抜くうえでも、非常に重要なポイントです。

 私が、それを痛感したのは、リクルート在籍中のことです。
 当時、私は事業部長でした。事業部長の仕事は、そのほとんどが社内政治です。部下をまとめ上げて、部署間調整を行う。上層部を味方につけるために、根回しをする。ときには、利害が対立する部署と水面下で戦う必要もありました。そんな社内政治に悪戦苦闘しながらも、大きな仕事を動かすことにやりがいを感じていました。

 しかし、私には「いつかは独立して、一国一城の主」になりたいという夢がありました。また、それまでに培った人脈を生かして、「人事コンサルタント」として社会的に意義のある仕事をする自信も生まれていました。そこで、1年後に退職・独立することを決意。社内には知らせず、秘密裡に独立準備を始めました。

 もちろん、リクルートでの仕事にも全力を上げました。いわば二足のワラジを履いたわけですから、負担ではありましたが、「夢」に向かうのですから苦にはなりませんでした。そして、数ヵ月が過ぎるうちに不思議な感覚にとらわれたのです。

 リクルートでの仕事が、以前に比べてスムースに進むようになったのです。上司、部下、他部署との関係もより良好になり、コンフリクトが減少。それまでは、しばしば会議などで対立した人物も、なぜか、私の提案に乗ってくるようになりました。

 そのときは、不思議に思ったものですが、後になって気づいたことがあります。退職を決意した私に、「私心」がなくなったからではないか、と。

 それまでは、「リクルートで出世したい」「実績を上げたい」という気持ちが強かった。だけど、退社すると決めれば、そんなことはどうでもよくなります。だからこそ、「会社にとってどうするのがベストか?」「顧客のためにどうすべきか?」ということを、「私心」に曇らない心で判断することができたのではないか。だからこそ、私の提案に共感してくれる人が増えたのではないか……。そう思ったのです。

 退職を決めたことで、社内政治がうまくいくようになったのですから、実に皮肉な話です。しかし、このとき、私は「私心を捨てる」ことの大切さを、心に刻みました。

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    高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長]

    1964年生まれ。同志社大学卒業後、リクルート入社。リクルートで6年間連続トップセールスに輝き、「伝説のトップセールスマン」として社内外から注目される。そのセールス手法をまとめた『営業マンは心理学者』(PHP研究所)は、10万部を超えるベストセラーとなった。 その後、情報誌『アントレ』の立ち上げに関わり、事業部長、編集長、転職事業の事業部長などを歴任。2005年、リクルート退社。人事戦略コンサルティング会社「セレブレイン」を創業。企業の人事評価制度の構築・人材育成・人材紹介などの事業を展開している。そのなかで、数多くの会社の社内政治の動向や、そのなかで働く管理職の本音を取材してきた。 『上司につける薬』(講談社)、『新しい管理職のルール』(ダイヤモンド社)、『仕事の9割は世間話』(日経プレミアシリーズ)など著書多数。職場での“リアルな悩み”に答える、ダイヤモンド・オンラインの連載「イマドキ職場のギャップ解消法」は、常に高PVをはじき出している。
    株式会社セレブレインホームページ
    高城幸司氏ブログ

     


    社内政治の教科書

    社内政治――。ネガティブな印象をもつ言葉ですが、実は「政治力」がなければ管理職は務まりません。どんなに優れたアイデアがあっても、組織を動かせなければ何ひとつ実現できないからです。部署間対立、横暴な上司、反抗的な部下……。こうした「現実」のなか社内政治を生き抜く鉄則を紹介します。

    「社内政治の教科書」

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