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DNAの自動抽出技術で最大手
共同開発で遺伝子診断にも布石
プレシジョン・システム・サイエンス社長
田島秀二

週刊ダイヤモンド編集部
【第96回】 2009年12月9日
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田島秀二
プレシジョン・システム・サイエンス社長 田島秀二(撮影:宇佐見利明)

 最近、大きな問題になっている新型インフルエンザだが、現在、新型か季節性かを判別する検査を行なっている病院はほとんどない。500万円以上もする遺伝子検査機器や専門技師が必要になるため、個々の病院で対応し切れないのだ。

 ここにビジネスチャンスを見出したのが、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)社長の田島秀二だ。「開業医が扱えるように、100万円を切るフル自動の検査装置を今期中(2010年6月期)に発売する。これによって医療現場も変わってくるはず」と意気込む。

 PSSの強みはひと言でいえば、DNA(デオキシリボ核酸)を磁力で抽出する技術(マグトレーション)だ。血液などの検体を装置にセットしてボタンを押せば、磁力を使ってDNAを取り出してくれる。かかる時間は10分。しかもフル自動である。

わが社はこれで勝負!
磁力を使ったDNAの自動抽出技術で世界トップシェアを持つ。シンプルな構造が強み。コストダウンと小型化を進め、医療機関向けのインフルエンザ検査装置や食品メーカー向けの検査装置にも応用しようとしている

 従来は手作業で遠心分離機にかけなければならなかったため、2時間以上かかるのが当たり前だった。1995年の発売以来、DNA検査機器トップのロシュ(スイス)や試薬メーカーのキアゲン(ドイツ)へのOEM(相手先ブランドによる生産)供給が実現。世界シェアは5割を超えている。

 この技術に遺伝子増幅技術を組み合わせれば、鼻の粘膜で、新型インフルエンザウイルスのDNAがあるかどうかが短時間でわかるのだという。

突然の打ち切りに奮起して開発
世界企業も評価

 もともとは検査機器向けろ紙商社にいたが、89年に「友人に頼まれて」、創業4年目のPSSを引き継いだ。当時は検査機器のメンテナンスを細々と行なっていたが、田島は機器メーカーの下請けに転身することで、売上高10億円を突破した。

 転機が訪れたのは94年。感染症などの検査装置の共同開発を行なっていた米大手の試薬メーカーから突然、開発中止を告げられたのだ。検査の精度が低かったことや相手側の社長交代などが背景にはあった。しかしそれではこれまで費やした開発費がすべてムダになる。年商10億円規模の中堅企業では銀行から資金を借りるのも容易ではない。奮起した。

 当時、磁力によるDNAの自動抽出の実用化に成功していたところはどこもなかった。精度の向上は共通する悩みだったのだ。「可能性を信じるしかなかった」と言うが、精度を劣化させる原因を徹底的に洗い出した。第一人者の研究者を訪ねて、スウェーデンやドイツにも飛んだ。

 解決策は意外なところにあった。「研究者というより、エンジニア的発想から生まれた」。

次のページ>> 研究開発が収益圧迫
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