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栄華と凋落、混沌が支配したウクライナの1年
原油とルーブル暴落は情勢変化の引き金になるか
――ジャーナリスト・仲野博文

仲野博文 [ジャーナリスト]
2014年12月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
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キエフ市内で募金活動を行う義勇兵部隊「アゾフ大隊」のメンバー(撮影2014年12月25日)
Photo by Ivan Chernichkin

昨年11月にウクライナのキエフで始まったユーロマイダン。「ユーロ」は文字通り「欧州」を意味し、「マイダン」はウクライナ語で「広場」を意味する。ロシアのプーチン大統領から、ロシア主導の経済圏「ユーラシア連合」に加盟するよう圧力を受けた当時のヤヌコヴィッチ政権が、欧州連合との協定の調停を見送ったため、これに反発した親欧米派やヤヌコヴィッチ政権に不満を抱く市民らがキエフ中心部にある独立広場に集結。これが大きな反政府デモに発展し、2月22日にヤヌコヴィッチ政権は事実上崩壊した。翌日にはクリミア危機が勃発。クリミアのロシアへの編入後も、ウクライナ東部では「親ロシア派民兵」とウクライナ軍との間で現在も戦闘が続いており、政治・経済的にウクライナの将来は非常に不透明な状態だ。ユーロマイダンから一年が経ったウクライナは、いまどうなっているのだろうか。

何よりも変えたかったのは
ウクライナ国内の政治構造

 2014年1月から2月にかけて、筆者はキエフ市民に聞き取りを行い、当時現在進行形で進んでいたユーロマイダンについてそれぞれの経験を語ってもらった。当時は多くの市民がユーロマイダンによってウクライナ政界に根付いた腐敗を一掃できると信じていた。

 さまざまな経歴、年代、思想を持つ市民が集まった独立広場は、治安部隊や武装し暴徒化した一部のデモ参加者の存在もあり、安全とは程遠い環境だった。キエフで英BBCの関連団体に勤務するミロスラバ・シヴォラップさんは、夫と共にデモに参加したが、いつ銃撃されるか分からない恐怖感は拭えなかったと語る。

 「昨年11月に反政府集会が始まった頃、私たちは身を守る物を何も持っていませんでした。独立広場にいた見知らぬ人からプラスチック製のヘルメットを渡されたのですが、その時は必要ないと思って受け取りませんでした。しかし、1月22日に4人が殺害され、慌ててインターネットで鉄製の軍用ヘルメットを購入しました。その後、催涙ガスなどに備えてゴーグルも購入し、デモが長期化する場合には防弾チョッキも購入すべきだと夫と話していました」

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


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