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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

思考停止のエコブームはもう終わりにしよう。環境問題が、ビジネスマンの「腹に落ちない」ワケ

――ブームに惑わされない、環境問題の考え方

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第1回】 2009年9月8日
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 「環境問題が、大切な問題だということは、わかっているが・・・」
 「でも、何から始めたらよいか、わからない」
 「むしろ、環境問題と言われれば言われるほど、胡散臭さを感じてしまう」

 このようなことを感じているビジネスマンは、きっと少なくないと思います。頭では理解出来ているものの、「腹に落ちない」という感じでしょうか?

 世界銀行の南アジア地域の副総裁を務められた西水美恵子さんは、著書「国をつくるという仕事」の中で、「(世界のリーダーと言われる人は)“頭とハートが繋がっている”から、為すことが光る」と述べています。

 おそらく、多くのビジネスマンが、「環境問題が、腹に落ちない」と感じている理由とは、頭とハートが繋がっていないからなのではないでしょうか?

 ならば、環境問題を考えるには、まず頭(理解=論理性=左脳的思考)と、ハート(実感=感性=右脳的思考)を繋げるところから始めたらよいのではないだろうか――今回の連載シリーズを始めるきっかけは、そんなことを考えたことからでした。

 そう言えば、私が銀行員だった時、財務諸表等の数値データから見ると問題がないように見えても、どうしても融資に踏み切れない案件がありました。まさに「腹に落ちない」という状況です。「腹に落ちない」案件は、結局、融資に踏み切ることが出来ませんでした。

 環境問題もこれと同じことが言えます。頭では何となく理解出来ていても、何かが引っ掛かって、納得できない=「腹に落ちない」状況では、なかなか、行動に踏み切ることは出来ないものです。

 今回の連載シリーズでは、巷にあふれる「腹に落ちない」環境のニュースやキーワードを、頭(論理性)とハート(感性)の両面から捉え、「なぜビジネスマンの腹に落ちないのか?」を読み解いていきたいと思っています。

頭とハートが
繋がる瞬間とは?

 第1回連載にあたり、私の経験の中から、“頭とハートが繋がった事例”をひとつ紹介したいと思います。

 これは、私がメガバンクを退職し、ap bankというアーティストが設立した、環境融資を行なうNPOバンクの融資担当理事だった時の話です。

 ある期の融資審査会で、「ゴミ袋をデザインする」という案件がありました。この案件に対し、まず出された意見は、「ゴミは減らすものだから、ゴミ袋をデザインするということは、環境問題に逆行するのでは?」というものでした。

 この意見について、皆さんはどう思われますか。ちなみに、このプロジェクト概要は、次のようなものでした。

1)ゴミ袋自体を、ひとつのシグナルと捉える。
2)デザインされたゴミ袋の利用により、ゴミを排出する他者へのプロパガンダの役割も果たす。
3)また、通常のゴミ袋に比べ、少し高い価格設定を検討し、収益の一部を緑化運動などへ寄付を行なう。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

「元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学」

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