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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

米国経済が一人勝ちですが、何が、どうして強いのですか?

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第2回】 2015年1月7日
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 米国経済の強さが際立ってきました。

 通常、「景気」は「GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)」で測りますが、直近のGDP確定値は前期 比5.0%増となっています。これは先進国の水準とすると非常に高い数字です(日本の同時期のGDP改定値はマイナス1.9%)。さらに、世界経済に与える影響が最も大きい経済指標の一つである雇用統計においても、11月の失業率は5.8%と前月と同水準でしたが、非農業部門の雇用者数が約32万人増と市場予想を大きく超えています。一般的に雇用者数の増加が20万人を超えると景気拡大と考えられています。

米株価は史上最高値を更新
ドル独歩高で一人勝ちの米国経済

 米国株式も好調で、ニューヨークダウは1万8000ドルを突破し史上最高値を更新しました。為替市場においても、日本や欧州も景気が低迷しており、さらに、好調な雇用状況によって早期利上げ観測が浮上しており、ドル独歩高となっています。

 「量的金融緩和政策」で長期金利が低下し、株価や住宅価格が上昇したことで、「資産効果」が大きく働いて(日本は効き目が弱い)、消費やその先の雇用も大きく回復してきています。一方、経済全体に占める輸出の割合が低いため、中国をはじめとした新興国の成長鈍化も大きな影響はないのです。

米景気拡大を後押しする原油安
シェール革命は国家戦略か?

 さらに米国の景気拡大を後押ししているのが、原油価格の下落です。安くなった分、消費を拡大できますし、製造業にもよい影響があります。IMF(国際通貨基金)は原油価格が3割下がると先進国の経済成長率を0.8%上昇させるとの試算を示しています。原油価格は昨年約5割下落しており試算以上の好影響をもたらすでしょう。

 原油価格の下落の原因は「シェール革命」、すなわち、米国内のシェールオイルとシェールガスの生産増です。米国は巨額の貿易赤字で悩んでいましたが、このシェールオイルとシェールガスのお陰で、貿易黒字国になることも夢ではなくなってきています。

 原油価格WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト:West Texas Intermediate)は、過去史上最高値としては140ドルまで上昇(リーマンショック後)しましたが、最近では100ドルから50ドル近辺まで下落しています。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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公式サイト:http://www.shukuwa.jp/    
連絡先: info@shukuwa.jp

 


宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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