ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

「中途だから役員になれない」「社長は事務系だけ」
“明確な不文律”に縛られる企業の末路

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第11回】 2015年1月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

中途だから、出戻りだから、技術系だから……
企業に立ちはだかる“明確な不文律”

 ある企業でこんな話を聞いた。

 「彼はとても優秀な人材だけど“中途だから”……」

 役員昇格の第一候補にはならないのだそうだ。中途入社といっても、昨日今日入社してきたわけではない。もう20年以上も前に転職してきて、その企業で確たる成果を残している。それにもかかわらず、“中途だから”少なくとも第一陣としてはダメなのだそうだ。もちろん、そんなことが明文化されているわけではない。組織の暗黙の了解事項として「そういうことになっている」とキッパリという。

 別の企業からは、こんなことも聞かれた。

 「外で実績を残した優秀な人材がたまたまフリーになったんだけど、“出戻り”は前例がなくてね……」

 彼が他社で残してきた実績は素晴らしい。今、喉から手が出るほど欲しい人材でもある。どうしても戻ってきてもらいたいと思いつつも、“出戻り”の彼をどのような肩書きと、どの程度の報酬で迎え入れればよいか、わからないと悩んでいるのである。

 私は「そんなに必要な人材なら、最低でも(出世の)トップの扱いで、その人の市場価値に見合った額を出せばよいのではないですか」とごく当たり前の返答をした。というよりも、それほど優秀な人材が中途半端な肩書きと報酬で戻ってくれるとは思えない。しかし、人事担当役員は「彼はうちの会社に貢献した期間が短い。他の社員の手前、それはどうだろう」と、いつまでたっても決めきれず、グジグジと悩んでいた。もちろん、優秀な彼を呼び戻すことはできなかった。

 また、別の企業ではこんな声を聞いた。

 「彼は同期のなかでも格段に早く役員になったんだけどね、“技術系”の人間だから……」

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

⇒バックナンバー一覧