自社の決算書を見ると、キャッシュを生み出す埋蔵金が隠されている。その埋蔵金を発掘するには、不要な資産を決算書から切り離す「オフバランス」が必要だ。では、実際にどのようにオフバランスすればいいのか――。

資産のオフバランスで埋蔵金を発掘する

「オフバランス」という言葉があります。B/S(貸借対照表)は「バランスシート(Balance Sheet)」と言いますが、不要な資産をB/Sから切り離す(オフ)ということで、「オフバランス」と言います。切り離す方法としては、売却か除却になります。

 含み損を抱えた土地や建物をオフバランスすること。これこそ、私が最もオススメする赤字決算による税務対策です。なぜなら、含み損を抱えた資産をオフバランスすると、次の3つのお金が手に入り、資金繰りが劇的に改善するからです。

(1)売却した代金
 売却価格は、現在の時価を参考にして、売る側、買う側の交渉で決まります。どうしても売りたければ、ちょっと値引きしてでも売るでしょうし、どうしても欲しければ、少々高くても買うでしょう。売却代金が入ってくるまでの交渉には、時間がかかります。そもそも、不動産を売却しようと思っても、すぐに買い手は見つかりません。固定資産の売却は、早くて2年、遅いと7年くらいかかります。まさかのときには間に合いません。不要な固定資産は、業績のいいときに早く売却を決意して、長い期間で対応しなくてはならないのです。

(2)中間申告で納付した税金
 前年に法人税を払っている場合は、中間期から2ヵ月以内に、前年に支払った法人税額の2分の1を支払います(これを中間納付と言います。3月決算なら、9月が中間期なので、その2ヵ月後の11月末までに支払います)。含み損を抱えた資産をオフバランスして、本決算の税引前利益を赤字にすれば、法人税はゼロになります。そうすると、中間納付で支払った法人税が返ってくるのです。

(3)来期以降、払うはずの税金
 税引前利益を赤字にすると、「欠損金」が発生します。ある年に欠損金が発生すると、その翌年以降で税引前利益が黒字になっても、中小企業の場合は、最大で向こう9年間は税金を払わずに済むという制度があります。この制度のなかで、将来に繰り越す欠損金のことを「繰越欠損金」と言います。まとめると、「繰越欠損金があれば、それがなくなるまで税金を払わずに済む」ということです。