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脆弱な中日関係を安定させる3つのテーマ

戦後70年の日中関係展望(下)
――龍谷大学客員研究員 倪 志敏

倪 志敏 [龍谷大学客員研究員]
2015年2月9日
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>>※(上)から続く

中日首脳会談での発言

 「4項目の合意文書」の発表は、首脳会談に向けた地ならしをした。11月10日午後11時50分ごろから、世界の注目が集まる中、習主席は安倍首相と25分間の会談を行った。会談の場で、正式な会談を象徴する両国の国旗はなかったが、両国は、「戦略的互恵関係」の原点に立ち戻り、徐々に関係を改善していくことで一致した。両国の公式発表を総合すれば、会談の要旨は以下の通りである。

 習主席は会談で、まず第1に、「中国政府は一貫して対日関係を重視しており、中日の4つの政治文書を基礎に、歴史を鑑とし、未来に向かう精神にのっとり、中日関係を前進させるよう」と表明した。第2に、「この2年、中日関係に重大な困難が生じたことの理非曲直ははっきりしている。双方はすでに中日関係の処理と改善について4つの原則的共通認識を発表しており、日本側が共通認識の精神にしっかり従って問題を適切に処理するよう」希望する。第3に、歴史認識に関して、「歴史問題は13億余の中国人民の感情に関わり、地域の平和、安定、発展の大局と関連しており、日本は中日の二国間政治文書及び『村山談話』等歴代政権の約束を誠実に守ってはじめて、アジアの隣国と未来志向の友好関係を発展させることができる」とクギを刺した。第4に、「日本が引き続き平和の道を歩み、(中略)地域の平和・安定を守るため建設的な役割を果たすよう」期待する。

 これに対し安倍首相は、まず第1に、「中国の平和的な発展は日本、世界にとって重要なチャンスだ。日中間には個別の問題もあるが、それにより全般的関係を損なうことは避けるべきだ」と指摘した。第2に、「日本側は双方の間で得られた4つの原則的共通認識を実行に移し、問題を適切に解決し、これを新たなスタート地点に、日中の戦略的互恵関係の改善、発展をはかることを願っている」と表明した上で、「(1)国民間の相互理解の推進、(2)経済関係の更なる深化、(3)東シナ海での協力、(4)東アジアの安全保障環境の安定」について協力を呼びかけた。第3に、「日本は引き続き平和の道を歩む決意であり、世界の平和と安定に一層貢献していく。現政権は歴代政権の歴史問題における認識を引き続き貫いていく」と応じた(参照・外務省HP中国外交部HP中国大使館HP[日本語訳] )。

 首脳会談の実現を受け、翌11日付の日本の主要各紙は、それぞれに社説を掲載し、首脳会談の意義を評価した。他方、11日付の『人民日報』は論評で、「重みのある会談だ」と評する一方、「今後、中日関係が本格的に改善するかどうかは日本側の対応次第だ」との見方を示した。

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倪 志敏 [龍谷大学客員研究員]

ニイ・ジミン/専攻は戦後中日関係史、博士。中国国家博物館を勤務した後1992年に来日、一橋大学大学院で学ぶ。中央大学、一橋大学客員研究員等を経て、現在龍谷大学、桜美林大学客員研究員。共編著、『中国共産党七十年図集』、『浩然正気』等。主要論文、「池田内閣における中日関係と大平正芳」、「田中内閣における中日国交正常化と大平正芳」、「大平正芳と阿片問題」、「大平正芳内閣と中日関係」、「釣魚島(尖閣諸島)領有権問題に関する中日間の『棚上げ合意』の史的経緯」等。


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