昨年、訪日外国人旅行者は前年比30%増の1341万人と急伸。そうした外国人観光客の消費を、大きく伸ばしているのが、ディスカウントストアの雄・ドンキホーテホールディングスだ。外国人観光客に受ける秘密を探っていくと、わが国がこうしたインバウンド消費をさらに取り込むヒントが見えてくる。
「一部の都内の店はものすごい勢いですよ。でもこれは初動にすぎません」。先ごろ今年度末(6月)をもって勇退すると宣言したドンキホーテホールディングス・安田隆夫会長兼社長の弁だ。
ドンキでは訪日外国人観光客の消費、いわゆる「インバウンド消費(=免税販売高)」が急伸している。同社は2月5日に2015年6月期中間決算(14年7~12月)を発表したばかりだが、インバウンド消費の伸びは、前年同期の実に5.6倍になった。
ドンキ全体の売り上げも前年同期比13%増の3422億円、営業利益も14%増の234億円と、消費増税の後遺症に悩む他の小売業を尻目に好調を維持している。その原動力の一つが、このインバウンド消費である。
ドンキのインバウンド事業への対応は早く、08年から本格的に始まった。
ドンキの取り組みは、存在の周知から言語サービスにまで及ぶ。海外の旅行博覧会にはブースを出し、ドンキの存在と免税店であることをPRしてきた。さらにドン・キホーテ全店が免税免許を取得し、外国人観光客専用の免税カウンターを設けている。また外国人観光客専門のスタッフも、ドン・キホーテなどグループ傘下262店のうち、19店のインバウンド「旗艦店」に配置している。
言葉の問題では「ウェルカムデスク」というコールセンターで、英語、中国語、韓国語、タイ語の4カ国語のサービスを提供している。現在、コールセンターには30人が在籍しており、常時5人程度が勤務。英中韓国語は24時間対応で、タイ語のみ午前10時から午後10時までとなっている。