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世界を覆う低インフレが示す、金融緩和策の限界

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第365回】 2015年2月23日
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主要国で鮮明化するデフレ傾向
背景には世界的な需要不足

日銀にとっても悩ましい状況だ
Photo:G-Fotolia.com

 世界経済を概括すると、主要国で低インフレあるいはデフレ傾向が鮮明になっている。

 わが国の消費者物価指数は前年対比で3%近い上昇を示しているものの、そのうちの約2%は昨年4月の消費税率引き上げ分だ。今年4月からそれが剥落すると、恐らく、消費者物価指数は1%を下回る水準になるだろう。

 景気回復が進んでいる米国でも、インフレ率はFRBが目標とする2%を下回っており、今のところ消費者物価指数が大きく上昇する状況にはない。EU圏もディスインフレ傾向が一段と鮮明化している。さらに、従来、インフレ期待が高かった中国でも物価水準は落ち着いている。

 こうした世界的な低インフレ傾向の背景には、何といっても世界レベルの需要不足がある。モノを買いたい人よりも、売りたい人の方が多いのだから、モノの値段が上がりにくいのは当然のことと言える。

 重要な問題は、世界的な需要不足の状況がそう簡単に解消されそうもないことだ。現在、米国を除く世界の主要国はいずれも金融緩和を行い、通貨の供給量を増やすことで景気を刺激し、物価水準を押し上げる政策を取っている。

 しかし、各国中央銀行の必死の政策運営にも拘わらず、世界経済が大きく回復する気配は今のところ見られず、物価水準も低迷したままだ。今後の世界経済の行方と、それに伴う金融市場の動きを考えてみる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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