西川公也農水相は、政治資金問題の責任を取って辞任し、前農水相の林芳正氏が代わって農水相に就任した。

 疑惑の内容もその経過も実にうんざりするような話である。

 西川氏はその辞任理由について、「いくら説明しても分からない人は分からない」と妙な発言をしたが、残念ながらその言葉には何ら反省心が感じられない。

 この問題は一言で言えば政治の歴史の中で連綿として続いてきた古典的な問題だ。50年前でも100年前でも同じような問題が起きてきた。違法であるかどうかは別にして、政治倫理の根幹に関わっている。

 政治家は、その政策の対象から距離を置かねばならない。それが古来良質な政治の鉄則である。

自ら進んで身を切る姿勢こそ
「政治とカネ」問題の特効薬

 折りから、維新の党は22日に初の党大会を開催し、企業・団体献金の受け取りを禁止することを決定した。

 企業・団体献金の禁止を提案したり、法案を提出するより、自らそれを禁止するほうがはるかに良い。「他の人も身を切るなら自分も身を切る」というのではいつまで経っても進まないからだ。「他の人が身を切らなくても自分は身を切る」という姿勢が事態を進行させ、他党を巻き込むことができる。

 そもそも企業・団体献金が禁止されることを信じて世論は政党交付金制度を容認した。企業・団体献金を認めれば、大半の人が政党交付金を認めないだろう。

 維新の党の今回の決定は英断と言ってもよいだろう。西川氏の問題と重なっただけに多くの人が歓迎している。