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魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

銀座マダムが殺到!
宝石ケースに陳列された「セレブ干物」の衝撃

池田陽子 [食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]
【第10回】 2015年3月2日
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干物店サスニンベンで人気の「カナダ産ボイル甘海老」はこのとおり、スイーツのようなおしゃれパッケージ。写真は磯崎俊成さん撮影

 「ザ・昭和」の佇まいを平成の世の今も崩さない、干物。日本人の魚離れを解決する糸口の一つは、干物をおしゃれにすることではないかと思い、おもむろに「干物 おしゃれ」で検索してみた。

 すると、まさしく「おしゃれなひもの屋さん」のWEBサイトを発見した。店の名は「サスニンベン~himono SASUNINBEN~」だ。

 現在、茨城県ひたちなか市勝田に店を構えるサスニンベンは、前回ご紹介したとおり、スタイリッシュなカフェ風の内装と洋楽が流れる雰囲気で、まさに“おしゃれな干物屋”。だが、このように生まれ変わったのはわずか数年前のことだった。その契機になったのが、30年前に始めた通信販売で順風満帆だった店を全壊させた2011年3月11日の東日本大震災だ。

東京で働いていた息子が気づいた
「うちの干物って、旨いんだな」

 「途方にくれました」とサスニンベンの代表を務める磯崎威志(たかし)さんは当時を振り返る。これまで営んできたひたちなか市那珂湊での再開を考えたが、それよりも「一刻も早くオープンしたかった」と威志さん。

 「通信販売を行っている以上、『店がなくなってしまったのでは』と思われる期間が長く続くのは絶対に避けたかった。早く営業を再開するために、那珂湊を離れ勝田で物件を探し、この場所でスタートすることにしたんです」

 一刻も早くといっても、当時はもちろんのこと大工の数も当然足りない状態だ。

 「家族で一致団結」。磯崎ファミリーの結束は固かった。4人の子どもたちも加わって店の再開に取り組んだ。

 都内で家具メーカーに勤務していた息子の俊成さんも、会社を休んだり、週末ごとに勝田に戻って、新店舗の準備を手伝った。

 「兄弟のうちでいちばん、融通が利く状態だったのが僕だったのですが、手伝っているうちに戻ってもいいかな……と思って」

 いつかは地元で「何かしたい」と考えてはいたが、家業に携わるつもりは全くなかった。干物についてもさしたる思い入れがあったわけではなく、子どものころから、日々、食卓に並ぶ当たり前の存在。「僕にとって干物は『白いごはん』のようなものでしたね(笑)」と俊成さん。

 けれど、実家を出て東京で暮らし始めてからはじめて、それが「当たり前」ではなかったことに気がついた。

 「居酒屋で、ホッケやシシャモの干物を食べて、あまりにも美味しくなかったことに衝撃を受けました。うちの干物って、旨いんだなと実感したんです」

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池田陽子[食文化ジャーナリスト/薬膳アテンダント]

宮崎生まれ、大阪育ちのアラフォー。立教大学卒業後、出版社にて女性誌、ムック、機内誌などの編集を手がける。取材を通して、カラダとココロの不調は食事で改善できるのでは?という関心から国立北京中医薬大学日本校に入学し、国際中医薬膳師資格取得。自身の体調の改善、美容効果などをふまえてふだんの暮らしの中で手軽に取り入れられる薬膳の提案や、漢方の知恵をいかしたアドバイスを、執筆、講習会などを通して行う。また、日本各地の食材を薬膳的観点から紹介する活動も積極的に取り組み、食材の新たな魅力を提案、発信を続け、食文化ジャーナリストとしての執筆活動も行っている。著書に「ゆる薬膳。」(日本文芸社)「缶詰deゆる薬膳。」(宝島社)、「『ゆる薬膳。』はじめたらするっと5kgヤセました!」(青春出版社)などがある。
■HP:www.yuruyakuzen.com
■Facebook:https://www.facebook.com/yoko.ikeda.79

また、鯖をこよなく愛し、日本全国・世界のさば、さば料理、さば缶を楽しみ、さば文化を語り、さばカルチャーを発信し、さばで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動している「全さば連」(全日本さば連合会)にて外交担当「サバジェンヌ」としても活動中。
■全さば連HP:http://all38.com
■FACEBOOKページ:http://www.facebook.com/mackerel.cava  

 


魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子

和食が世界遺産に認定され、改めて見直される「魚食文化」。日本各地にはさまざまなおいしい魚が水揚げされ、地元ならではの「魚料理」があります。この連載では日本各地の各種魚の産地を訪ね、「とっておきの漁師料理/ご家庭の魚料理/ご当地魚グルメ」を紹介。あわせて漁の様子、市場の風景など、おいしい「浜のめし」を支える人々の活躍をお届けします。

「魚食王国ニッポン~元気をつくる「浜のめし」 池田陽子」

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