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財務省主導の劇場型パフォーマンス?
成長戦略なき“事業仕分け”の本当の効果

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第103回】 2009年12月1日
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 政府与党の行政刷新会議が主導して行なった「事業仕分け」の実況中継が、多くの国民の関心を集めた。

 これは、財務省主計局の担当者の説明の後、各分野の専門家が“仕分け人”として、関係の官僚や担当者に対して鋭い切り込みを行なったものだ。

 予算の使い道や効果を徹底的に見直す場面を見ていると、国民として溜飲を下げることが多いのだろう。これによって、鳩山内閣の支持率が上がっているという。

 事業仕分けは、今まで一般人はほとんど見ることができなかった予算編成の現場を、リアルタイムで見ることができるという大きなメリットがあった。それによって、国民の予算に対する意識が高まるため、有力政治家などの既得権益の牙城を崩すためには、画期的な出来事だったと言える。

 ただし一方で、仕分け作業の進め方や作業自体の効果については、辛口の見方がある。

 ある経済専門家は、「事業仕分けは財務省主計局が脚本を書き、演出する一種の“ショー”だ」と指摘していた。

 財務省主計局は、もともと各省庁から出される概算要求を削る役目を果たしていた。今回、国民に公開される格好で、思い切り予算要求を削れることは、彼らにとって大きなメリットがある。有力政治家からの巻き返し(予算折衝)などを心配せずにすむからだ。

 そのため優秀な官僚は、独自の筋書きを作り、それに基づいて事業仕分けの作業をリードする。財務省主導の劇場型パフォーマンスとも言える。

 また、事前にかなりの準備を行なってはいるものの、短時間に多くの案件を俎上に載せて、一応の結論を出すことは、口で言うほど容易なことではない。しかも、国民という聴衆を意識した発言が多く、本当の議論がどれほどできているかは疑問の余地がある。

 当然、そこらか出される削減案にどれだけの効果があるかは、今後の展開を見なければ結論を出すことができない。むしろ、「ガラス張りの予算編成」を実現するプロセスの第一歩と考えるべきだろう。

 では、「劇場型パフォーマンス」の裏側と、事業仕分けの実際の効果を詳しく検証してみよう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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