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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

「ロボット=鉄腕アトム」の固定概念が
技術開発の邪魔になる

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第10回】 2015年3月16日
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日本の企業は
「システム開発力」が足りない

 前回お話しした「MITスマーテストカンパニー50社(2014年)」の企業を改めて眺めてみると、この3つのMを取り入れている企業が多いことがわかります。つまり、単に何かの技術に長けているのではなく、時代の要請に合わせてシステムを構築できる企業が評価されているということです。

 日本の企業は、この「システム開発力」が足りない。たとえば、液晶も3DもDVDも発明したのはすべて日本の企業ですが、最後はオイシイところを海外の企業に全部もっていかれています。DVDで一番儲けたのはどこかわかりますか? それは映画産業の米国ハリウッドなのです。

 今、多くの人が使っている「iPhone」も、パソコンや電話、ビデオカメラ、カセットレコーダー、時計などをつなぎ合わせてシステム化したものです。日本が得意にしてきた家電製品は今やパーツになりはて、それをシステム化できない日本の企業は苦戦を強いられる状況にどんどん追い込まれているわけです。

 「ムーアの法則」からすれば、近い将来「iPhone」自体も何かのパーツになるのかもしれませんね。

 日本のベンチャー企業を見ても、モノづくりにこだわるあまり、「狭い世界の最適化」に時間を浪費しているように感じることがあります。たとえば、電気自動車の制御回路を開発している技術系の新興企業も、やっていることは各社各仕様のバッテリーに合わせたインタフェースを作ってつなぎ込む作業に追われているように見えます。技術一辺倒の企業がこの先生き残っていくのはなかなか大変といえるでしょう。

「ロボットは人型」という思い込みが
開発のジャマになっていないか

 技術といえば、日本のロボット技術はレベルが高く、世界から賞賛を受けています。ただ私は、前述したような理由からその将来に危機感を感じざるを得ません。

 あなたは、「ロボット」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

 日本のビジネスピープルに「あなたの憧れだったロボットは?」と聞いてみると、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」「マジンガーZ」…といった答えが返ってきます。いずれも悪者をやっつけてくれる正義の味方の人型ロボットです。

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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