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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

米国の利上げはどのようにして誰が決めるのでしょうか?

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第7回】 2015年3月18日
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なぜ、米国は利上げに向かうのか

 イエレンFRB議長がいつ利上げに踏み切るのか。今、金融市場の関心はこの一点に尽きると言っても過言ではありません。

 正確に言うと、利上げは米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会 (FOMC:Federal Open Market Committee) において投票によって決定されます。そのプロセスなどは後ほど詳しく解説しますが、連邦公開市場委員会は、今後6月16・17日、7月28・29日、8月はなくて、9月16・17日に開催されます。市場が注目する米国の利上げは、この3回のうちに行われると考えられます。

 近年、先進国では経済の成熟化に伴い成長率が下がってきました。そして、2008年からのリーマンショックや2010年からの欧州債務危機の影響が世界的に広がり、欧州を除いた先進国は量的金融緩和(QE:quantitative easing)を開始しました。米国では2008年から、日本でも2013年から日本銀行の黒田総裁が、質的・量的金融緩和を開始しています。

 金融緩和の目的は、そもそもは金利を下げることによって、貸出(借入)がし易くなりまた、金利が下がるので預金よりも株価などの資産に資金が流入し資産価格が上昇することによって景気を良くするというものです。

 米国の場合はドル資金量が当初約8000億ドル程度でありましたが、最近では約4兆ドルとなんと5倍にも膨れ上がっています。

 ちなみに、日本の緩和マネーも同程度まで増加してきています。これはマクロ経済でよく使う手法ですが、GDP対比でみると、米国は約2割強、日本は約7割と、日本の政府債務残高と同様ダントツの比率です。

 ただし、金融緩和は、そもそも一時的な政策です。身体の治療でいうと輸血みたいなものです。一時的に血の巡りがよくなって楽になります。言い換えると、痛み止めです。しかも、楽になるのでもっと欲しくなるという中毒化する特徴があります。海外のメディアは「モルヒネ」とも揶揄している向きもあります。また痛み止めですから、経済の悪いところを本質的に治すわけではなく、放置してさらに悪化するという特徴があります。この点で金融緩和と構造改革は相いれない政策なのです。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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