『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』の著者である起業家・杉本宏之氏が、本書にも登場する著名経営者たちと語り合う起業家対談シリーズ。最終回はアパレルECサイトZOZOTOWNを運営する株式会社スタートトゥデイの前澤友作氏だ。杉本氏が再起を決意できた理由とは、前澤氏をはじめとする友人たちとの信頼関係があったこと。そんな「解答」を教えてくれるかのように、和やかな対談となった。後編は、前澤氏自身の「目標」にも話が及ぶ。

1日6時間勤務だと、
無駄な資料を作らないし
無駄な報告会議もない。

杉本 そういえば、この対談に備えて最近の前澤さんの情報をチェックしようと思ってネットを見たら、昨年の決算説明会で孫悟空になってましたね。

前澤 そう。杉ちゃん、キノコの時(2010年の決算説明会)、来てくれたでしょ。

杉本 はい、最前列で見てました。キノコの頭が重くて辛そうだった。

前澤 あれ、エリンギ。

起業家対談シリーズ第7回 前澤友作<br />1日6時間で社会に貢献する方法を考えろ!杉本宏之(すぎもと・ひろゆき)[起業家]1977年生まれ。高校卒業後、住宅販売会社に就職、22歳でトップ営業となる。2001年に退社し、24歳でエスグラントコーポレーションを設立。ワンルームマンションの分譲事業を皮切りに事業を拡大し、総合不動産企業に成長させる。2005年不動産業界史上最年少で上場を果たす。2008年のリーマンショックで業績が悪化、2009年に民事再生を申請、自己破産。その後再起し、エスグラントに匹敵する規模にグループを育て上げた。2014年7月、復活を果たしたのを機に著書『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』を刊行した。

杉本 あ、そうなんですね。ともあれ、エリンギ姿で登場して、みんなが爆笑するならともかく、会場に集まったアナリストは「は?」っていう感じのどん引きで。でも、前澤さんはまったく臆するところがないのを見て、メンタルの強い人だと見直しました。

前澤 で、西遊記はあれの第二弾。そもそも決算説明会って、なんだかどんより暗いじゃないですか。それがイヤで、いろいろやってるんですよ。

杉本 笑いは取れたんですか?

前澤 苦笑がね。

杉本 ちょうどハロウィンだったようですけど、なぜ西遊記?

前澤 4人で登壇することになってたから、衣装が間に合って4人で仮装できるものを探したんだよね。悟空、三蔵法師、沙悟浄、猪八戒でちょうど4人。でも、猪八戒のもってる矛がビルの警備で止められて、会場には持っていけなかった(笑)。

杉本 社員に止められないんですか?

前澤 ないない。社員は期待してるよ。アナリストも意外と期待してる。笑わないけど。

編集部 えっと、少し話を真面目なほうに戻しますと、スタートトゥデイは、ユニークな勤務形態でも知られていますよね。

杉本 6時間勤務はまだ続けてるんですか?

前澤 うん。9時〜15時の6時間勤務。

杉本 成果はありますか?

前澤 はい。まず、みんなが無駄なことをしないね。無駄な資料を作らないし、無駄な報告会議みたいなものもない。

杉本 なるほど。でも、どうしても残業しなきゃいけない社員も出てくるでしょ。

前澤 いるね。

杉本 その残業は許容する?

前澤 とにかく、1日6時間しかない中で、どうやって社会に貢献するか考えてほしいんだよ。6時間で帰れるからラッキーじゃなくて、6時間しかチャンスがないっていうこと。