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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

20代高学歴女性を洗脳する
ワンマン社長の「人心管理術」(下)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第8回】 2015年3月24日
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>>(上)より続く

筆者 それはある意味で、真理でしょうね。

A氏 そのレベルの女性たちだから、知名度の高い大企業で、洒落たオフィスで、それなりの労働条件ならば、もう満足なんですよ。会社を離れ、1人でバリバリと働く女性に憧れるなんて、あり得ないと思う。アッパーじゃないんだから。

 あの社長は、中途半端な高学歴女性には、「女の子」のままであってほしいんです。だからこそ、権限も与えないし、活躍するような仕事もさせない。誰でもできる単純作業をさせているだけ。でも大企業はおおむね、こんなものだと思いますね。心の底では、女性をバカにしているんだろう。

筆者 それが、ホンネでしょうね。

A氏 あの会社ではまして、上の世代(30代後半以上)がリストラなどで大量に辞めているから、20代の女性社員を押さえつける人がいない。20代の男性にはある程度厳しく接しているけど、女性にはねぇ……。

 ベンチャーでも、数百人規模になると、多かれ少なかれこんなもの。今の時代は、純然たるベンチャー企業は相当に少ない。既存事業の焼き直しをして、なんとか業績を維持する「なんちゃってベンチャー」が多いわけだから。新規ビジネスに次々に挑戦する、野心的でとんがった人は実は少ない。

全社員の6~8割が保守的でないと
東証1部に上場なんてできないよ

筆者 そのあたりは、誤解されているんですね。ビジネス雑誌などは、「大企業=保守的、ベンチャー=新規ビジネスに対して積極的」といった50年も前の感覚で捉えています。実際は、そんなに単純ではないでしょう。

 数年前、超有名な本格的なベンチャーの経営者に取材したところ、「うちでも社員数が200~300人になった段階で、高学歴で保守的な考えの社員が6~8割
になった。『新規にビジネスをやろう』という声も、めっきり減った」と話していました。

 逆に、聞かれましたよ。「全社員のうち、8~9割が新規ビジネスに取り組みたいと願う会社なんてあるんですか」と。「全社員の6~8割がある意味で保守的にならないと、東証1部に上場なんてできないですよ」とも。

 超有名な本格的なベンチャーの経営者は、高学歴の人を増やすのは「考える力」が必要だからと話していましたね。マネジメントや営業、事業、人事、財務などの戦略を深く考える力を養う前提は、基礎学力が必要とも話していました。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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