職務能力とリーダーシップだけでは
理想のキャリアは実現しない

40代から評価が下がる人に欠けている5つの能力40代以降も評価されつづけるのは本当に難しい
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 理想のキャリアを実現させ、自らの市場価値を高めるために欠かせない、5つのメタ能力について前回紹介した。

 今回は引き続き、このメタ能力について、それぞれどのようなものかについて詳説していきたいと思う。自分が常識と思っているものとは違うということも少なくないはずだ。

 5つのメタ能力を復習すると、(1)職務能力、(2)リーダーシップ、(3)学習する力、(4)オートノミー(=自律)、(5)人としての力(人間力)だ。

「キャリアを成功させるために必要なものは何か?」と質問すると、多くの人は職務能力、特に専門能力と答えるだろう。つまり、ある会社に入って、ある部署に配属されて、仕事を覚える。基礎能力から始まって、だんだんと専門的で高度な能力を身につけていく。そのようにして獲得された能力だ。

 この職務能力の高さこそが「キャリアを成功させていく源泉」だと皆、思っている。市場価値も、職務能力で決まると思っている人が多い。もちろん、職務能力も重要ではあるが、それは必要な能力の一部に過ぎない。

 現在の職務能力は現在の仕事では役に立つ。しかし、状況が変わればその有効性は減じてしまうかもしれない。つまり、職務能力というものは、今の仕事に限定的に役に立つものなのだ。だから、「今の仕事を継続する限りにおいてはあなたのキャリアを成功に導いてくれる能力」と言えるに過ぎない。

 多くのビジネスパーソンが次に思い浮かべる能力が、リーダーシップだ。確かに、リーダーシップも重要な能力だ。

 私は、リーダーシップを「人を巻き込む力」と定義している。だから、ポジションに関係なく、新入社員の時から、リーダーシップは必要な能力であるし、磨くべきスキルだと思っている。しかし、リーダーシップがとりわけ重要になるのは、組織の中で指導的な立場になってからであることも事実だ。いわゆる管理職になって、マネジメントの仕事を担うようになってからは、専らこのリーダーシップ能力があなたのキャリアを輝かせてくれるだろう。

 と、多くの人は、この2つをもってキャリアを成功させるための道具だと考えている。その上で、より職務能力に軸足を置いてキャリアを描いて行くのが専門職型のキャリアで、リーダーシップに重きを置いて能力開発するのがマネジメントコースのキャリア成功の秘訣だと思っているのではないだろうか。

 もちろんそれは間違いではない。だが、それでは足りないということを、ここで改めて強調したい。まず、満足のいくキャリアを形成する上で「学習する力」がとても重要であることを指摘したい。皆、建前では学ぶ力の重要性を認めるが、実行が伴わない人が多いように思う。「何を当たり前のことを」とか「何を今さら」と言うわりには学んでいない人が多い。最近の自分をよく思い起こしてほしい。果たして今でも青臭く、学んでいるであろうか?