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田中均の「世界を見る眼」

ADBとAIIBの“相互乗り入れ”こそ世界の利益

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第43回】 2015年4月15日
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中国への向き合い方の試金石
AIIB設立の背景と意図は

国際社会での影響力拡大を図る中国に、日本はどう向き合うべきか
Photo:jundream-Fotolia.com

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題は、急速に台頭する中国とどう向き合っていくのかについての極めて重要なテストケースであり、国際社会の対応如何によって中国の将来の方向性も変わってくる。日本はそのような問題意識をもって参加の是非を考えなければならない。

 まず、中国がAIIB構想を推進する背景やその意図を考えてみたいと思う。

 中国が急速に台頭する過程で目立ってきたのは、一方的で攻撃的な中国である。南シナ海の係争地域近くで中国は引き続き埋め立てを続け、巨大な施設の構築を急いでいる。これは尖閣諸島周辺海域への頻繁な船舶の侵入、防空識別圏の一方的設置、南シナ海でのベトナムやフィリピンとの衝突など、海洋を中心とした中国の攻撃的な活動の一環と捉えられる。

 このような中国の行動は、その意図について周辺諸国に強い猜疑心を生む原因となっているが、日本や米国は抑止力を維持しつつ、関係国と共に一方的な行動に反対する姿勢を強化してきた。

 中国は、こうした2010年頃からの東シナ海や南シナ海における強硬な対外路線がもたらした国際社会との摩擦の反省もあってか、2013年後半から経済面を中心に国際社会との協調を意識した戦略を打ち出してきた。

 AIIB構想は2013年10月のジャカルタでのAPEC首脳会議で習近平国家主席が提唱したものである。2014年10月には21ヵ国により設立覚書が締結され、今年3月末には創設メンバーとしての参加申請が締め切られた。現在50近くの国・地域が参加を申請している。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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