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山崎元のマネー経済の歩き方

リスクを計算する期間の話

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第94回】 2009年9月14日
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 一見地味だけれども運用の実務的には重要な話をしよう。

 運用資産の配分比率の決定は、教科書的には、資産の期待リターンとリスクとを基に最適に計算されるべきだ。この際に、国内株式や外国株式といった資産分類ごとの期待リターンを求めることが特に難しく、苦労する。あくまでも大ざっぱな感覚だが、株式のウエートが資産の半分前後になる程度のリスクを取る基金の運用で見ても、期待リターン1%の差で、5%から6%、あるいはそれ以上配分比率が変わる。前提条件の小さな差で大きな結果の差が生じることに対して「だから理論は実務に使えない」とかんしゃくを起こす人がいるが、これは運用上1%の差を重大と感じないその人のほうが「使いものにならない」。

 ここでリスクの前提条件だが、資産のリスクについては、過去のデータから計算して求めてもそう問題ないことになっている。だが問題は、「過去のデータ」といっても、いったいどの時期を使えばいいのかが判然としないことだ。

 過去5年なのか、10年なのか、20年、30年といったもっと長い期間のデータを用いるのか、具体的な決め方を書いた教科書は案外見たことがない。

 期間を長く取ると推計上のサンプル数が増えるし、過去のいろいろな局面が含まれるが、現在から遠いデータをたくさん含むことになり、直近の資本市場の状況を反映しにくくなる。年月がたつと環境も変わる。過去のデータで計算するといっても意味的には将来のリスクの推測なので、悩ましい。

 公的年金の運用では、リスクを計算するサンプル期間は、できるだけ長いほうが好ましいと見ている節がある。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は基本ポートフォリオを作り、これを検証する際に、1974年くらいからの30数年のデータを使っている。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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