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明日を支配するもの
ダイヤモンド社刊
2200円(税別)

 「今後20年から30年において、先進国では人口構造をめぐる諸々の問題が政治の中心となる」(『明日を支配するもの』)

 少子高齢化の危機に備えのできている国はない。人口構造についての問題意識に従って組織された政党や政策協調は現れていない。

 ドラッカーは、定年延長の主張は右翼と位置づけるべきか、左翼と位置づけるべきかと問う。60歳以降の就業促進を目的とする所得税の高年者減税は進歩的というべきか、保守的というべきかと問う。高齢者に働いてもらわなければ、社会が負担の重さに耐えられない。高齢者も働きたいと思っている。

 同じように、あるいはそれ以上に難しい問題が、移民の受け入れである。人口が減少する豊かな先進国のすぐ隣に、人口が増加する貧しい途上国がある。

 人の流れの圧力に抗することは、引力に抗するに似ている。それでいながら大量移民、特に文化や宗教の異なる国からの大量移民ほど政治的な問題はない。

 最も深刻なのが日本だとドラッカーは言う。定年が早く、労働市場が硬直的である。SARSの影響で外国人労働者が不足し地方の中小メーカーが青くなった。看護や介護の世界では人手不足に泣いている。すでに日本は、外国人労働者に働いてもらわなければ成り立たない社会に向かっている。

 「先進国では安定した政治や強力な政府は望みえなくなる。政治は不安定たらざるをえなくなる」(『明日を支配するもの』)

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上田惇生 [ものつくり大学名誉教授]

1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、ものつくり大学教授を経て、現在同大学名誉教授。ピーター・F・ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳。もっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。『プロフェッショナルの条件』ほかを編集。著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』などがある。ドラッカー学会初代代表。


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