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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

高速道路、一部無料化へ――タダより高く、怖いものはない!? 「1000円」と「無料」の大きな違い

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第10回】 2010年2月9日
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 デフレ経済の真っただ中、究極の値下げ(?)とも言うべき、「高速道路の一部無料化」が発表されました。なぜか、あれだけの税金を投じて造った高速道路の通行料が、全ての車種を対象に、一部区間とはいえ “タダ”になるようです。高速道路がタダになる仕組みも、なぜタダにしなければならないのかという理由も、よくわからないというのが正直なところです。

 無料やタダと聞くと、子供の頃は何だか得をしたような気がしましたが、歳を重ねるごとに、「その裏に潜むワナ」を警戒するようになるものです。昔から「タダより高いものはない」と言いますが、それは「タダで何かをもらうと、代わりに物事を頼まれたりお礼に費用がかかったりして、かえって高くつく(大辞泉)」という意味です。

 確かに、インターネットで「○○無料」という甘い言葉に誘われてクリックしたら後で法外な請求を受けた、というニュースはいまも時々目にします。まさに、これは「タダより高いものはない」という実例です。また、女性を食事に誘い、好意で女性の分まで支払おうとしたら、頑なに固辞された、という経験を持つ方も少なくないと思います。悲しい現実ですが、これは、きっとその女性が、「タダより高い」ではなく、「タダより怖いものはない」と、感じたからではないでしょうか。

 このように、タダというものは、一般的に「高くつき」、「怖いもの」として捉えられているのです。

モノを買うことは、
その「価値」を買うこと

 高速道路には、建設費や修繕費、安全管理にかかる費用等、多額のコストがかかります。そのコストを、(全てではないにせよ)通行料で回収することを前提に考えた場合、適正な通行料(価格)がいくらになるか、詳しいことはわかりません。しかし、少なくともタダであるはずはありません。

 ホンダの創業者の本田宗一郎さんは、価格と価値について興味深いことを述べています。

 「商品というものは安ければ売れるというものではない」
 「その品質に見合った価格ならば、いたずらに安くなくても十分に売れていくものなのだ」
 「お金を出してある商品を買うということは、その価値を買うのだ」

 もちろん、高速道路は商品ではありませんから、ここでは商品をサービスに置き換えて考える必要がありますが、結論は同じです。このことについて少し考えてみようと思います。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


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ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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