戦後70年の節目に当たる今年、中国では「抗戦勝利70周年」「世界反ファシスト抗戦勝利70周年」と称したイベントが各地で開催される。中国ではすでに年明けから、70周年イベントに向けた準備や取り組みが進められているが、沿海部の大都市上海では市民の関心は薄い。

戦後70年談話に向けて、<br />反日エネルギーをため込む中国の事情

 4月19日、CCTVの特集番組は、日中戦争当時に収録されたというあるフィルムを取り上げた。それは、日本軍が中国に投降するシーンをアメリカ人が撮影したもので、湖南省で日本軍の代表が投降書に署名するシーンを映したものだった。中国では「日本軍の投降フィルム初公開」と掲げ、数日にわたり、ニュース番組でも取り上げられた。

 このように、中国のテレビでは、「抗日」をテーマにした報道特集が毎日のように放送されるようになった。

 ちなみに、この投降フィルムだが、湖南省懐化市の中国人民抗日戦争勝利記念館が改装オープンに際して、新たに文物資料として加えたものだ。

 この記念館のみならず、「戦後70周年」の取り組み強化の一環として改装を施し、「新たな観光スポット」かつ「愛国教育基地」として開放される事例は、中国全土で枚挙にいとまがない。上海では「上海淞滬抗戦記念館」が、今年改装を経て一大テーマパークとなる。

 記念館の改装以外にも文芸、芸術方面でも取組み強化が行われている。

 すでに北京の国家大劇院では4月末から特別講演会が始まった。幕開けはショスタコーヴィチの交響曲月第7番「レニングラード」。ドイツ軍が900日にわたりレニングラードを包囲する中でショスタコーヴィチが書き上げたとされる曲であり、中国はこれをファシスト闘争に由来を持つ名曲として起用した。

 4月の演奏を皮切りに、今年は、8月15日(日本の敗戦記念日)、9月3日(中国人民抗日戦争勝利記念日)、12月13日(南京大虐殺犠牲者国家追悼日)に特別記念公演が行われるという(※カッコ内はいずれも中国での呼称)。