「幸せ食堂」繁盛記
【第四回】 2015年5月28日 野地秩嘉

働き者の親子が営む人形町の洋食屋で、
ステーキの朝食を

朝8時から営業している洋食屋

 レストラン「ラグー」は人形町にある昔ながらの洋食屋だ。ラグーの特徴はなんといっても朝の8時から営業していることだ。大衆食堂では朝から店を開けているところは多い。しかし、本格的洋食屋でこの時間からやっているのは市場の店を別にすればラグーくらいではないか。

 店主の川島靖喜は、朝食営業について、こう言っている。

「創業当初は同じ建物にあるビジネスホテルのお客さんが朝ご飯を食べにやってきましたが、いまは一般の方がほとんど。それもお医者さん、会社の重役といった人がやってきます。ゆっくりと朝ご飯を楽しみたい人たちなんでしょう」

 朝ご飯は和食もしくは洋食のセット。加えてアラカルトメニューがある。
和食セット(730円)は、目玉焼き、海苔、おしんこ、梅干し、野菜の煮物、味噌汁にご飯。洋食セット(730円)は、ハムエッグ、サラダ、トースト、コーヒー。

 アラカルトはポタージュ(640円)、スクランブルエッグ(280円)、ビーフカレー(1200円)など。人気なのは本格的なビーフカレーだ。スパイシーでかつ牛肉がたくさん入っている。

「常連のなかには朝からカレーを召し上がって、さらにステーキを焼いてくれという方もいらっしゃいます。『すみません、お時間かかりますよ』と一応、お断りするのですが、どうしてもと言われれば朝から焼くこともあります」

 いいことを聞いた。近々、朝からフィレステーキ150グラム(3600円)を焼いてもらって、かつ、ビーフカレーを食いたい。むろん、同店に置いてある赤ワインも飲む。

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野地秩嘉 1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。出版社勤務、美術プロデューサーなど を経て、ノンフィクション作家に。食や美術、海外文化の評論、人物ルポルタージュ など幅広く執筆。近著に、「TOKYOオリンピック物語」「イベリコ豚を買いに」「打 ち合わせの天才」「アジア古寺巡礼」「アジアで働く いまはその時だ」など。


「幸せ食堂」繁盛記

この連載は、味がよく、サービスも悪くなく、値段はリーズナブルで、しかも、できればハイサワーやホッピーを置いている店のグルメガイドだ。ここで紹介される店は、金持ちの社長やグルメ評論家はまずいない。著者は、そういう店を「勤労食堂」「国民酒場」と呼ぶ。そこでは客が微笑しながら食べている。ほほえみながら食べている人と一緒にいることは至福だ。人生の幸せは勤労食堂もしくは国民酒場にある。

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