承認欲求を捨て、<br />「褒められない勇気」を持とう片桐仁(かたぎり・じん)
1973年生まれ、埼玉県出身。コメディアン、俳優。多摩美術大学在学中の1996年に小林賢太郎とお笑いコンビ「ラーメンズ」を結成。独特の世界観で人気を博し、以後舞台を中心にテレビ、ラジオなどさまざまな分野で活躍中。1999年より粘土を用いた造形作家としても活動しており、作品集『粘土道 完全版』(講談社)、『ジンディー・ジョーンズ─感涙の秘宝』(講談社)などを出版。2013年4月には渋谷パルコで個展を開催し1万3000人を動員した。ガンプラ・マニアとしても有名で著書に『ラーメンズ・片桐仁のガンプラ戦士ジンダム』(光文社)がある。最新著書は『おしり2─ラーメンズ片桐仁のおしえて何故ならしりたがりだから』(東京ニュース通信社)。

片桐 でも『嫌われる勇気』の大ヒットで、状況が変わったんじゃないんですか?

岸見 大きく変わりましたね。私も講演の自己紹介で、アドラーの説明に長い時間をとらなくてよくなりました(笑)。結果としては、これでよかったのだと思います。アドラーも「みんなの心理学」と言っている以上、たくさんの人に伝えたかったはずですから。

古賀史健(以下、古賀) そうですね。アドラー心理学を皆さんに知ってもらえるきっかけがつくれて、良かったと思います。

岸見 アメリカに移ってからのアドラーは、大学でも教えていました。でも、彼はそれがメインの仕事だとは思っていなかった。あくまで、自分は一般の人たちに講義をするのが仕事だということで、いろいろな年齢層の人に講義をしていたようです。そういう一般向けの人を対象にした講義で、一番多かったのは恋愛相談だったそうです。その当時すでに60代だったアドラーが、恋愛相談に楽しそうにのっていたと思うと、おもしろいですよね。そしてこれは、大学の先生にはできないことですよ。

片桐 恋愛相談が多いの、わかるなあ。つい先日、恋愛ものの舞台に出演していて、恋愛って対人関係の悩みがすべて詰まっているものだ、と思ったんです。自分をよく見せたいとか、気持ちをどう伝えればいいのかとか。

岸見 アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言っていますが、そういう意味で恋愛の話から入ると、アドラー心理学も理解しやすいのです。いま、ぼくは専門学校生にアドラー心理学を教えています。そこで恋愛の話をしたところ、学生が2回目くらいの講義で「なんとか恋愛をやっていけそうです」と言ってくれたのですよ。