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バブル崩壊を新たなバブルで埋める
米国流「バブル・リレー」復活の危うさ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第101回】 2009年11月17日
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 最近、米国でファンドマネジャーをしている友人とメールのやり取りをしていると、彼が米国経済の先行きに楽観的な見方をしていることがわかる。

 株式市場も、そうした見方を反映して、3月の安値から5割以上上昇しており、足元では、今年の最高値近辺で推移している。

 ところが一方で、実体経済に目を移すと、失業率は10.2%と約26年ぶりの水準まで上昇しており、年末のクリスマス商戦も苦戦が伝えられている。それにもかかわらず、何故彼は楽観的な見方ができるのだろうか。

 思い当たるヒントが1つある。それは、「米国政府のバブル対処法」だ。今まで米国の政策当局は、バブルの調整による経済低迷を、次のバブルを作ることによって対応してきた。つまり米国は、「バブルをもってバブルを制してきた」のである。

 1つのバブルが崩壊すると、高値で買った株式などから損失が発生する。通常、「その損失の処理=バランスシート調整」のために経済活動が低迷するのだが、その調整を次のバブルを作ることで負担を軽くしてきたのである。

 2000年にITバブル(株式バブル)が破裂した後、米国は不動産バブルに乗り換えることよって、景気低迷の長期化を防いだ。多くの人々の頭の中には、「今回も、政策当局が次のバブルを作って、何とか乗り切ることができるだろう」という意識が根強く残っているのだろう。

 人間の心理の中には、過去の成功体験の記憶が鮮明に残る傾向があり、どうしても、それにしがみつきたくなるものだ。

 しかし問題は、今回のような「株式―不動産―コモディティ(原油や小麦などの商品市況)」といったバブルの連鎖が終わった直後に、再び株式やコモディティのバブルを作り出すことができるか否かだ。

 それができないと、米国経済は「バブルの後始末」による景気低迷に悩み続けることになる。その場合、世界経済も立ち直りまでに多くの時間を要することになるはずだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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