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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

「社長が欲しがる人材」が、課長に敬遠される理由

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第22回】 2015年6月22日
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王貞治さんが対談で語った
「こんなバッターが欲しい」

 先日、長嶋茂雄さんと王貞治さんの夢のON対談をテレビで見た。しかも司会は星野仙一さんである。私と同世代であれば、野球ファンでなくても思わず見入ってしまうのではないだろうか。

 そんなかつてのスーパースターたちは、現在の野球界を憂いており、「人気を取り戻すために」どうすればよいか語りあっていた。

 その場で王さんが語ったのは、「4打席あったら3三振1ホームランの選手が出てきてほしい」ということだった。おそらく念頭にあったのは、長嶋さんのデビュー戦の4打席4三振であり、豪放磊落なかつてのスター選手たちのイメージであろう。

 たしかに、王さんの言っていることはよくわかる。豪快なスウィングの三振で球場を沸かせる一方で、ここぞというときにホームランを打つ記憶に残るような選手がたくさんいれば、たしかに試合は盛り上がる。見ているほうも大喜びするに違いない。でも、本当にそんな選手を多く輩出することはできるのだろうか。非常に面白い対談だったが、私は企業の経営トップが語る「魅力的な人材」とよく似たものを感じて、よほど覚悟を決めないと「難しいだろう」と思ってしまった。

社長の「こんな人材がほしい」という要望は、現場の管理職からすると、受け入れることが難しい

 この手の話はビジネス界によくある。たとえばトヨタの豊田章男社長も、「仮にヒットは打てなくても、バッターボックスに立ったことを評価したい」と発言したことがある。つまり、「失敗しないように挑戦しない人」ではなく、「たとえ失敗しても挑戦をいとわない人」を応援するということだ。

 この発言も共感できる。多くの人がそう感じるだろうし、トップのこういった発言は就活向けの企業パンフレットに掲載されたりして、「そんな攻めの精神のある企業に入社したい!」と考える就活生のファンを増やしたりもする。それに、豊田社長も本当に心の底からそう思っているのだろう。綺麗ごとだと否定するつもりはまったくない。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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