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岸博幸のクリエイティブ国富論

ネットの無料モデルに“マスメディア”の未来はない

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第28回】 2009年2月27日
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 “情報のゴミ溜め”インターネット(以下「ネット」と略します)は、マスメディアとジャーナリズムをどんどん衰退させています。しかし、かんぽの宿に関するネット世論から明らかなように、ネットがメディアの中心になったらとんでもない社会になります。かつ、マスメディアは成長産業であるクリエイティブ産業の中核です。マスメディアは経済・社会に不可欠な存在なのです。

 従って、マスメディアをいかに再生させるかが重要となります。そう言うとすぐに“通信と放送の融合”を持ち出す輩が多いのですが、それ程いい加減な議論はありません。マスメディアにとってネットはまだ儲からないからです。しかし、再生の過程でネットを避けて通ることは出来ません。

 そこで、今回は、マスメディアがネットとどう向き合い、どう取り込んで行くべきかを考えたいと思います。

ネットがマスメディアを殺す
本質的な理由

 最初に、なぜネットはマスメディアを衰退させているのでしょうか。よく言われるのは、ネットが広告費と視聴者をマスメディアから奪っているということですが、それは表層的な事実に過ぎません。

 実際、融合の先進国である米国では、マスメディアが積極的にネットに進出し、アナログ時代よりもマスメディアのコンテンツを見る人の数は増えているのに、ネット上で十分な収益を上げているところは皆無であり、多くの新聞社は死にそうになっています。

 むしろ、ネットがマスメディアを窮地に追い込んでいる本質的な理由は、ネット上でのマスメディアのビジネスモデルの主流が(広告収入をあてにした)無料モデルとなっているからではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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