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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

ガラパゴスの元凶は
「正解が1つ」の日本の教育制度だ

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第14回】 2015年7月6日
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日本式のテストでは
創造力や想像力は育たない

 最近、人工知能の進化に関するニュースが相次いで報道されています。近い将来、ロボットが社会で普通に活躍する時代が訪れたら、人間はもう不要な存在になってしまうのかもしれません。そうならないために、今後必要なのは「クリエイティビティ(創造力)やイマジネーション(想像力)を育てるための教育」です。今回は、この問題を掘り下げてみたいと思います。

 現在、日本のテストのスタイルは「7+3=?」というように、1つの答えを導き出すものが普通です。でも、これは海外の教育関係者からすれば不思議な話。というのも、答えがわかっていることをわざわざ問題にしているからです。では、海外ではどうかというと、「□×□=24」など、いく通りもの答えを考えさせるようにするのが一般的です。

 この違いは、「What(事実)」を覚えさせるよりも、「Why」を考えさせて創造力や想像力を養うことのほうが重要とする考え方から生じています。
私たちが社会に出て日々直面する問題は、「1+1=2」のように答えが1つだけというケースはほとんどありません。答えがいく通りもある出題によって、子供自身に考えさせ、それぞれが意見を述べやすくし、他者の力を借りながら問題を解決していく――。これこそまさに実社会で生かせる教育なのです。

 日本人は記憶力が良く暗記がとても得意ですが、今やグーグルで簡単に情報を検索できる時代。情報を知っているだけでは価値はないといってもいいでしょう。得た情報をいかに自分の頭で処理し、知恵やアイデアにつなげていけるか。そこがポイントです。

ボランティアで身につけてほしい
「他者に助けを求める力」

 これからの子供にとって重要なのは学校教育ばかりではありません。OECD(経済協力開発機構)の教育会議でも提言しましたが、私は「ボランティア」の経験がとても有益だと考えています。

 ボランティア体験は、身体的・社会的に自分よりも弱い人がいることを知り、多様性を実感できるよい機会となります。そこでは、「困っている人がいたら助けるべき」ということと同じくらい、いいえ、むしろより強く「自分が困っているときは助けを求めてもいいんだ」ということを学ぶのが重要です。

 人生に挫折はつきものですから、ときには自分が誰かの手を必要とすることもあるでしょう。弱さは決して恥ずかしいことではない。困難に直面したときに一人で抱え込むと、乗り切ることができず、取り返しのつかない失敗を犯すことにもなりかねません。

 学校や塾で忙しい子供にボランティアをさせるのは一見、時間のムダのように思えるかもしれませんが、いざというときのために「他者に助けを求める力」はぜひ身につけておいてほしいと思います。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

ご意見は、ツイッター@whsaitoまで。

 


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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