例えば、これまで使われてきた税金逃れの“隠れみの”も、マイナンバーにかかればその意味を失う。

 自宅から遠く離れた場所につくった銀行口座は「遠隔地預金」などと呼ばれ、これまでは税務調査官の目も届きにくかった。しかし、それも番号で照会をかければ、すぐにたどり着くことができるようになるのだ。

 あなたの資産が丸裸にされる日も、そう遠くはないかもしれない。

 一方、番号制度は、全国約400万社の事業者すべてに大きな負担を強いている。

制度対応でてんてこ舞い
不満募らせる民間企業

 6月中旬、都内のある貸し会議室では、企業の担当者向けにマイナンバー制度の対策セミナーが行われていた。

「つい先日、会社でマイナンバー担当を言い渡されてしまって。企業のメリットがないのでおっくうですが、このセミナーを機にうちも対策を始めます」

 ある中小企業のマイナンバー担当者は、不安げな表情でこう語った。最近、対策セミナーには企業の担当者が殺到し、「即、予約が埋まってしまう状態」(セミナー主催者)だという。

 また、最近のセミナーには、ある特徴がある。「受講者の半数近くを小売りと外食企業の担当者が占めることが多い」(同)というのだ。後述するように、これらの業界はとりわけ制度対応が大変だからである。

 企業の制度対応の作業は、業種によってかなり違う。番号を集める対象者が多ければ多いほど、作業は煩雑になる。

 アルバイトが多く、収集する番号が膨大な数に上るのが、小売りや外食業界だ。

 例えば、コンビニエンスストア大手のローソンは、全国に約1万2000の店舗を構えている。仮に1店舗当たり20人分の番号を集めるとすると、24万件という膨大な数の収集を迫られる。

 また、これらの業界は、フランチャイズでの店舗展開も多く、誰が番号を収集すべきなのか、という問題も生じている。フランチャイズ店は、本来はアルバイトの雇用者であるオーナーが収集するのが筋だ。