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「引きこもり」するオトナたち

部下を無理やりクビにした
パワハラ上司が議員に当選する皮肉な現実

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第242回】 2015年7月16日
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 「コツコツと頑張れば出世したり、会社に留まって幸せになれたり、認められたりする社会ではないんだなと思うんです」

 こう明かすのは、地方都市に住む40代女性のA子さん。

 以前、社員として勤めていた会社で、上司のBさんからパワハラを受け、退職に追い込まれた。以来、5年以上にわたって仕事に就くことができず、実家で両親と暮らしながら、不安に脅える日々だという。

仕事は丸投げ、出張で豪遊も
資産家息子のパワハラ上司

上司のパワハラが引きこもりのきっかけになるケースは少なくない
※写真はイメージです

 A子さんは職場にいたとき、総務セクションで仕事をしていた。

 しかし、それまでの直属の上司に代わり、新たな上司となったBさんは、仕事のしかたが前任者とは180度違うものだった。

 例えば、Bさんは、前任者が当たり前のように手伝っていた、全員で行う清掃やゴミ捨て、草むしりといった用務員的な仕事を一切やらなかった。

 当時30歳くらいと若かったBさんは元々、その地域でも有数の資産家の息子だった。

 家系は、役人一家。一帯の土地も持っている。

 「会社は家と同じだ」

 そうBさんは口にして、くつろいだ様子だったという。

 また、前任者は出張経費を節減するため、必要最小限の会議以外、欠席していた。しかし、Bさんは、都会で行われる会議にだけはすべて出席。国内や海外の視察にも好んで出かけていって、出張手当や小遣いなどを受け取る。その一方で、視察の報告などが職場内で共有されることは、まったくなかった。

 クライアントからの評判も悪く、「Bさんが言ったことをやってくれない」などのクレームが来て、A子さんらがこっそり謝罪に行ったこともあった。

 何よりも致命的だったのは、Bさんに代わってから、顧客を怒らせて解約させてしまう事態が相次ぎ、顧客の数はおよそ2割も減ったことだ。

 さらに、業者に仕事を発注する際、打ち合わせは行うものの、業務は事実上、丸投げ状態。仕事よりも、自らのプライベートを常に優先させていたという。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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