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トンデモ人事部が会社を壊す

タクシー運転手のカーナビ依存は目的喪失症候群?

山口 博
【第27回】 2015年7月28日
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目的地へ行き着かないタクシーが増えている!?

 タクシーに乗車して、目的地ではなく、その周辺で降ろされた経験をお持ちではないだろうか。運転手に、「カーナビが指しているのは、このあたりなのですよね。よろしいですか」と問われ、運賃の支払いと降車を迫られるパターンである。このように運転手から言われるケースが、近頃、増えているように感じられる。私自身、最近も連続して、このような場面に遭遇した。

カーナビが伝えるままの目的地でお客を降ろすだけ。そんな機械的対応がタクシー業界で増えているが、企業の人事部でも同様の“病理”が蔓延している

 カーナビがない時代は、「○○へ行ってください」と行先を伝えて、運転手が行先を知らない場合は、「道順をガイドしてくれますか?」とか、「地図で調べますね」という回答があり、近くに到着すると、「この場所でよろしいですか?」という確認をしてもらえるケースがほとんどだった。

 カーナビの普及により、運転手の目的が、お客を目的地まで案内することから、カーナビが指した場所へ移動することへ、いつの間にかすり替わってしまっているのではないだろうか。

 あるとき、連続して目的地周辺で降ろされた後に乗ったタクシーでは、運転手が「どちらまででしょうか」、「ナビを入れさせていただきますね」、さらに「○○ビルの、車寄せまで入れてよろしいでしょうか、それとも、少し離れた場所へ止めましょうか」と、なんとも気の利いた問いかけをしてくれたので、冒頭の懸念を話してみた。

 その運転手は、「あくまで、タクシー業界全体を見渡しての一般論で、私見ですが」と前置きしたうえで、次のような見解を教えてくれた。

 「同乗指導の時間と頻度が、少なくなっていることが原因だと思いますね。以前は、トレーナーや先輩運転手が助手席に同乗して、お客様をお乗せして、運転技法はもとより、行先の確認から、到着してお見送りするまでのお客さまとのコミュニケーションの全てを、出庫から戻るまで付きっ切りで、1週間、行っていたものです。そして同じことを、1ヵ月後にもあらためて指導するということを実施していました。しかし今は、合理化、合理化で、運転技能のある人を採用して、すぐに現場に出し、同乗指導はしてもたった1日。フォローアップもない状況ですから、そうなるのも無理ありませんね」。つまり、トレーニングが減少しているということである。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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