ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

過去の債券市場3大ショックに見る
米国利上げと市場大変動の関係

高田創・みずほ総研チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第179回】 2015年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

炭鉱のカナリアか?
利上げと一致する債権市場ショック

米国の利上げも「炭鉱のカナリア」の1つだ

 筆者は、1980年代半ばから30年近く債券市場に立ち会ってきたが、その中で次の「3大ショック」を経験した。図表1はその3回を示している。日本で1980年代以降の利上げ局面は3回しかなく、それぞれ債券市場のショックが前触れだった。

①タテホショック(1987年8月)→1989年利上げ
②運用部ショック(1998年12月)→2000年利上げ
③VaRショック(2003年6月)→2006年利上げ

 本論でのポイントは、この3ショックはその後の日本の利上げの予兆、「炭鉱のカナリア」の役目を果したのではないかとの問題意識にある。今日、多くのエコノミストは、随分先とは思いながらも日本の出口、日本の利上げに注目した議論を行っている。ただし、金融市場参加者にとって重要なのは、いつ日銀が利上げするかより、債券市場の変動、先に示した3ショックのようなイベントにある。

 以上3ショックは、実際の利上げの2-3年前に生じている。利上げは2018年の先であるにしても、過去の経験則に従えば、債券市場の変動はその2-3年前の2016年頃からは生じ得るとの意識も必要になる。同時にこうした変動は、米国の利上げの頃に生じていることも認識する必要があり、米国の利上げも「炭鉱のカナリア」の1つだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧