ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる
【第5回】 2015年8月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
惠谷 治 [軍事ジャーナリスト]

原理主義理論家がつくり出した
「6番目の義務ジハード(聖戦)」が若者の心をとらえた

1
nextpage

新聞やTVの断片的な情報だけでは、めまぐるしく変わる世界情勢は根本的には理解できない。ニュースの前に、知っておくべき基礎知識というのがある。
私の『アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知れば、この複雑な世界が手に取るようにわかる』という著書の中で、この「知っておくべき」基礎知識を集めたが、今回は「イスラム原理主義者の若者の心をとらえているものは何か」について説明する。

原理主義理論家がつくり出した
「6番目の義務ジハード(聖戦)」が若者の心をとらえた

 1980年代、イスラム原理主義の前身である、エジプトの「ムスリム同胞団」は緩やかな社会変革を目指す組織だった。しかし、それに挑戦するかのように電気技師だったアブドゥルサラーム・ファラグが『無視された義務』を著し、過激な原理主義理論を打ち出した。

 彼は礼拝や断食などイスラム教徒の5大義務である「五行」の他に、6番目の隠れた義務として「ジハード(聖戦)」があると主張したのだ。
 これは一気に若者たちの心をとらえた。

 「ジハード……それは神の大義であり、宗教の将来にとって極めて重要であるにもかかわらず、この時代のウラマーによって無視されてきた。(中略)剣の力によってのみ、この世の偶像をなくすことができる」。

 ファラグは腐敗した権力者と戦い、理想社会であるウンマを実現するために、背教者や異教徒へのテロは、ジハードとして正当化されると説いた。

 ファラグの著作は発禁になったが、純真な学生や青年たちの心をとらえ、そのコピーは地下で回覧され、エジプトのみならずイスラム世界の原理主義運動を先鋭化させた。

 イスラム社会でイスラム過激派が支持されるのには、長い間各地で独裁政権が続き、政治の腐敗が慢性化していたという背景がある。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


惠谷 治 [軍事ジャーナリスト]

1949年、東京生まれの尾道育ち。早稲田大学法学部卒。早大探検部OB。卒業後はアラブ、アフリカなどイスラム圏の戦場や紛争地帯、東西冷戦中は主としてソ連を中心に共産圏を取材する。
民族紛争、軍事情報に精通するジャーナリスト。綿密な取材と、独自の情報源による正確な分析力に定評がある。特に北朝鮮問題に関する分析は、海外のメディアからも注目を集めている。
防衛庁防衛研修所非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、早稲田大学アジア研究所客員教授などを歴任。現在、海上保安庁政策アドバイザー、特定失踪者問題調査会常務理事、救う会「拉致の全貌と解決策調査プロジェクト」メンバー、早稲田大学アジア研究所招聘研究員。『西サハラ』『世界危険情報大地図館』『アフガン山岳戦従軍記』『世界テロ戦争』『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』など著書多数。


アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる

ポイントとなる「歴史」「現代の事件」さえ知っておけば、今と未来がわかり出す!
日々のニュースで流れてくる問題を知ろうとするなら、ニュースのことだけでなく、それに関係する国々の事情も知っておく必要がある。今、世界は複雑になりすぎていて、ニュースから読み取れる断片的な情報では、本質的な意味は分かりづらい。 ニュースを読む力をつけるために、いちばん手っ取り早いのは、「アメリカ」「ロシア」「中国」「イスラム圏」の4つの歴史と状況を知っておくことである。軍事ジャーナリストとしての経験の中から、最低限知っておけばいいトピックスを紹介する。

「アメリカ、ロシア、中国、イスラム圏を知ればこの複雑な世界が手に取るようにわかる」

⇒バックナンバー一覧