あなたのエージェントは、
本当にあなたのことを考えてくれているか
転職を行う場合は、ヘッドハンティングを受けるか、あるいは人材紹介会社などのエージェントに登録して仕事を斡旋してもらうケースが多い。
そこで求職者としての立場を一度脇に置いて、エージェントの立場に立って考えてみてほしい。斡旋事業もビジネスだ。できるだけ効率的に仕事を進めたいと思うのは当然だ。できるだけスピーディーにマッチングを成立させたいと思うだろう。そしてこれは求職者と利害が一致する。
その上で、できるだけ高い給与の仕事を斡旋したいと考えるはずだ。なぜならば、転職者の給与が高ければ、それだけ手数料も高くなるからだ。ここも多くの求職者と利害が一致するだろう。
その結果として、自分たちの手持ち求人リストの中にある会社で、求職者に一番高く給与を払ってくれそうな会社を探す。しかも、同業他社のほうがわかりやすいから、そこに絞って探すのが常だ。
この、一見問題のなさそうな行動に、実は問題が潜んでいることを、この連載をお読みいただいている読者は気づいたかもしれない。
今までお伝えしてきたポイントと全く逆の選択なのだ。最初の給与は無理して高くしないほうがいいということ、同業他社への転職は必ずしも成功確率が高くない、というこれまでに挙げたポイントとは正反対になっている。
多くのエージェントは、その人の転職後の仕事のやりがいや仕事の継続性についてまではあまり考慮しない。かなりドライであることは知っておいた方がいい。あくまでもビジネスなのだ。
エージェントはよく、「求人件数が常時何万件あります」ということを宣伝文句として使う。それだけの件数があるのだから、きっと自分に合った転職先が見つかるだろうと考えてしまう。
ただ、そこがそもそもの間違いだ。あなたが今選ぶべき相手は、最終的にはたった1社だけ。何万社あっても何の意味もない。それよりもむしろ、自分が幸せになれるストーリーを描ける候補企業が数社あるほうがいい。
だから求人件数=社数が多いということに惑わされてはいけない。