ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
金利市場透視眼鏡

ECBの量的緩和政策が促す
ユーロ圏発金利低下の可能性

野地 慎 [SMBC日興証券シニア金利ストラテジスト]
2015年8月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 世界の債券市場の参加者の注目は9月以降の米国の利上げに集中してきている。ただ、中国経済の弱さを懸念する声は依然強く、米国も9月利上げには踏み切れないとの見解も多いようだ。米国の2年債利回りなどは依然9月利上げを完全には織り込めておらず、いざ利上げともなれば、米国のみならず欧州や日本の債券市場の金利上昇要因となる可能性がある。

 そうした中、ユーロ圏に債券利回りの低下要因がある点にも注目すべきだろう。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和政策については、少なくとも2016年9月までは続くことになると思われるが、ECBが市場からマイナス金利の国債も購入することを決定したことで、「マイナス金利の国債を売却し、マイナス金利の当座預金に資金を滞留させる」ような動きがスムーズに生じ、ECBの思惑通り、ユーロシステムの過剰流動性は増加の一途をたどっている。そしてその流れは今後も続いていくものと予想される。

 ユーロ圏の短期市場金利であるEONIA(ユーロ圏翌日物平均金利)は、ECBの預金金利(超過準備への付利金利)とユーロシステムの過剰流動性の両者を説明変数とした重回帰分析でその動きを説明できる。ユーロシステムの過剰流動性が拡大すればEONIAは低下する。今後、ECBの量的緩和政策が拡大すれば、過剰流動性の拡大とともにEONIAが低下する可能性が高い。

 短期市場金利の低下は、短期国債や2年国債などの期間の短いユーロ圏の国債利回りを押し下げる働きをすると予想される。2年債利回りが低下すれば、より長めの中長期国債の期待リターンが高まり、買われることでユーロ圏の中長期債利回りも低下するだろう。

1
nextpage

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


金利市場透視眼鏡

国債などの債券投資家のニーズに応えるコラム。執筆には第一線のエコノミストを迎え、債券市場の動向を分析、今後の展望を予測する。

「金利市場透視眼鏡」

⇒バックナンバー一覧