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平井 陽一朗の人材「共育」日誌

“成功体験”なんてウソ!人は成功からは学べない
内田和成×平井陽一朗対談【後編】

平井陽一朗 [ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクター]
【第7回】 2015年9月11日
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成長観や人材育成について語り合う早稲田大学ビジネススクール内田和成氏(左)とBCGパートナー平井陽一朗氏
Photo:DOL

前回は、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さんに、若者の選択肢が増えている今、企業は若手社会人の採用・育成についてどう考えるべきか、あるいは若手が自身の成長についてどう考えるべきか、そのヒントをたくさん伺いました。今回はその後編です。

「“成功体験”というのは嘘で、人間は成功からは学べない」と言う内田さんも、若手社員時代は試行錯誤があったそうです。そこから、現時点での自身の成長や、人材の採用・育成で悩む方々に、気づきを与えるエッセンスが見つかるかもしれません。(構成/ダイヤモンド・オンライン編集部 安田有希子)

企業単位で「ダイバーシティ」を
推進するより大切なこと

平井 日本の企業では今、女性の活用をはじめとして、ダイバーシティの問題が問われていますが…。

内田 今の日本では、一つの会社の中に多様な人材を揃えなければいけない、と思うからおかしなことになる。コーポレートガバナンスの問題もあり致し方ない面もありますが、先日、経営者を集めた「早稲田会議」でもそういう話をしました。

 国や産業単位でダイバーシティがあれば良いことで、別に何が何でも一つの企業内でダイバーシティを確保しなくてもいいんですよ。例えば、女性役員が何割で、女性の管理職が何割、そこにはLGBTもいて…とか(笑)。そんな話より、うちの会社はLGBTしかいないけど、ニッチで圧倒的にハッピーな会社だと掲げるほうが断然いい。

 会社ごとに個性があって、それぞれを足し合わせると多様な社会になっているというほうが、活力が出ると思うんだけどなあ…。

平井 多様性ですよね。企業の採用でもそこは悩ましい所ではあると思うんです。私の友人が経営しているベンチャー企業でも、最初は社員が100人未満。みんな同じDNAを持っていて、それぞれ個性が強く、「多様性からの連帯」をベースに仕事ができるんです。それが500~1000人規模になってくると、いよいよ顔と名前が一致しなくなるし、当然事業規模も大きくなっていく。

 1年に200名規模で採用しなければならなくなったとき、その人の個性とか、本当の優秀度合いとか、向上心や野心を理解せず、ある意味機械的にバサッと採用するとなると、“とりあえず優秀な人”を採用しがちだと思うんですよね。この問題は、何か工夫のしどころがあるんでしょうか?

内田 やっぱりそれは、“優秀な人”を選ぶのではなくて、私が最初に言った(前回参照)会社を好きな人を選ぶという点だとか…。

 例えば、ユニ・チャームの高原豪久社長は、「優秀な人か、自社の哲学を分かってくれる人だったら、後者を優先する」と言っていますが、これは一つの見識ですね。でもこれは、経営者がそう思っているからできることで、銀行とか商社の人事の人が「俺の哲学で採用する」なんて言ったら左遷されてしまう。そうすると、トップに哲学がないとできないし、何かしらの工夫が必要でしょうね。

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平井陽一朗[ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクター]

ひらい・よういちろう/ボストン コンサルティング グループ(BCG) パートナー&マネージング・ディレクター。1974年、東京都生まれ。米国の公立高校を卒業後、東京大学経済学部卒業。三菱商事を経て、BCGへ入社。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパン、オリコン取締役副社長兼COO、ザッパラス代表取締役社長兼CEOを経て、再びBCGに入社、現在に至る。ネットサービス系企業における経営経験などを活かし、デジタルコンテンツやEコマース領域などを中心に、企業戦略や事業開発、グローバル戦略等、数多くのプロジェクトを手掛ける。


平井 陽一朗の人材「共育」日誌

「育成」は本当に難しい。例え育成の仕組みが充実していても、育てられる側に成長への意欲がなければ成立し得ません。かといって「成長なんて自己責任」で片づけてしまえば、永遠に「育成」というものに対する解を得られません。それでは、育成がうまくいっているように見える会社とそうでない会社とでは何が違うのでしょう。そうした悩みの中で、私平井陽一朗が所属していた三菱商事、ボストン コンサルティング グループ、ディズニーなどの企業で得た経験を振り返り、「育つ」「育てる」という難しいテーマを考える端緒にしたいと思います。人材育成で悩んでいる方や、社会人として成長していく過程にある方にとっても、何かしらのヒントがあるはずです。

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