アシュレイ・マディソンの米国サイト(https://www.ashleymadison.com/)。日本語サイトもある

 カナダを拠点にする不倫サイト「アシュレイ・マディソン」がハッカーの攻撃を受け、3200万人ものユーザー情報が漏れた事件。発生から1ヵ月以上も経ったが、事態はますます悪い余波を及ぼしているようだ。

 アシュレイ・マディソンは、いわば既婚者の出会いサイトである。サイト上では「人生は短い。浮気をしよう」という文句と共に、結婚指輪をした女性が口元に人差し指をあてて、秘密のできごとへ誘う写真が掲載されている。

 ユーザーは登録後、ここでチャットなどを交わしながら相手を見定め、浮気の目的を達成するというしくみだ。サービスは、男性には有料、女性は無料だ。

盗んだ個人情報の公開で
騒ぎはさらに拡大

 サイトには、「匿名メンバー数は3964万5000人」(原稿執筆時点)と記されているのだが、今回の漏洩が3200万人ということは、ほとんどのユーザーが個人情報を盗まれたことになる。今年5月時点で、日本人ユーザーも180万人いたと伝えられているので、漏洩された中には、日本人の情報も含まれているだろう。

 さて、この攻撃を行った「インパクト・チーム」という名のハッカー集団は、サイトを閉鎖せよという要求にアシュレイ・マディソンが従わなかったという理由で、数日前から盗んだ個人情報を公開し始めた。情報は、氏名、メールアドレス、電話番号、クレジットカード番号の一部などである。これで騒ぎは一気に広がったのである。

 まず、名前が明らかにされて、自分の夫や妻を見つけた人々もいただろう。彼らが、結婚や家庭崩壊の危機に直面することは間違いない。登録ユーザーにはセレブも少なからず含まれていたため、タブロイド新聞や女性週刊誌などはしばらく話題に事欠くことがないはずだ。