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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

「会議が多くて大変だ」とほくそ笑む管理職の本心

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第26回】 2015年8月31日
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日本企業に会議が多い5つの理由

上司からよく聞く「会議ばかりで大変」というセリフ、本心ではないかもしれません

 「うちの会社は会議ばかりで大変だ」

 これは、多くのビジネスマンからよく聞かされるセリフだ。特に管理職ともなると、会議に出席するのが仕事のようになり、本来の仕事をする暇がない……ということもある。では、なぜ企業にはこんなにも会議が多いのか。それにはざっと思いつくだけでも5つの理由がある。

 1つめの理由は、「意思決定の基準と権限の範囲が明確でないから」だ。戦略自体が曖昧で、本人も事業の方針やあるべき行動・思考基準に対する理解度が低い場合、さらに何をどこまで決めてよいかが不明確な場合、一人(もしくは少人数)では意思決定をすることができない。そこで、集団的な合意を求めて会議を開くのだ。

 2つめの理由は、「意思決定の影響範囲を正しく見積もれないから」だ。つまり、その決定をすることで他部署にどんな影響があり、どんな作業を依頼しなくてはならないのかが予測できないため、「情報漏れがないように」と、実際に関わってくる可能性のあるすべての部署と人を会議に招集することになる。関係部署の仕事をあまり知らないのが一番の原因だろう。

 3つめの理由は、「情報共有を善とし、独断専行を悪とする文化があるから」だ。これは、多くの日本企業の組織に通底している思想である。何でもかんでも情報共有し、報連相を密に行うことが絶対的な善であるため、少人数で決定すると「勝手に進めた」と非難されてしまう。本当に働いている人ほど、「不必要なことまで共有するな」「関係ないメールのCCに入れるな」と言いたいのではないだろうか。

 4つめの理由は、「俺は聞いていないと、へそを曲げる社員がいるから」だ。バカバカしい話だとは思うが、直接の関係ないことでも、情報を共有されないと不機嫌になるシニア社員は多い。現在では、上司・部下の間での年齢逆転現象も珍しくない。となると、年上の部下の機嫌を取るために、会議の場をあえて設定し参加してもらい、顔を立てるのだ。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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