トヨタ自動車向けのハイブリッド系部品供給などで強みを見せてきたデンソー。独メガサプライヤーが安全運転支援の領域で一歩リードを見せる中、世界で伍して戦えるのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

 8月17日、トヨタ自動車が同社の主力四輪駆動車「ランドクルーザー」をマイナーチェンジし、全国で販売を開始した。

 何といっても今回のウリは、いよいよトヨタが衝突回避を支援する自動ブレーキ機能「セーフティセンスP」を初搭載したこと。そして、この製品に採用されている車間制御センサーなどの部品サプライヤーが、トヨタ系自動車部品最大手、デンソーである。

 トヨタはこれに先駆けて今年4月、廉価版の自動ブレーキ機能「セーフティセンスC」を搭載した「カローラ」を発売しているが、サプライヤーは独コンチネンタルだった。

 このコンチネンタル製のセンサーは、スズキやマツダ、ホンダといった日系自動車メーカーにも2012年ごろから数多く採用されてきた実績がある。

 一方、自動ブレーキの領域で半ば出遅れた感のあったデンソーも今回、いよいよ反撃ののろしを上げたことになる。

 デンソーが今後もグローバルな競争力を発揮できるかは、将来的に自動運転につながる自動ブレーキ機能などの安全運転支援技術で先行するドイツ勢に追い付き、ここでも存在感を高められるかどうかが鍵を握っている。

 というのも、これまでのデンソーは、トヨタへの依存体質が顕著だったからだ。

 トヨタグループ(トヨタ、ダイハツ工業、日野自動車)向けの売上高比率こそ08年度の48.6%から14年度には46.7%へと若干下げてきてはいるものの、営業利益率を所在地別に見ると、依存は明らかになる。

 日本では10.7%と高い営業利益率を誇るのに対し、北中南米や欧州のそれは3.9%、3.2%と極めて低い。

 その背景には、ガソリン車と比べて車両価格の高いハイブリッド車の普及する日本において、ハイブリッドシステムの主要部品をトヨタ向けに供給してきたことがあると思われる。日本では今や新車販売台数の約4割がハイブリッド車だが、世界ではわずか数パーセントにすぎない。

 実際、デンソーの国内1台当たり売上高(国内トヨタ向けのデンソー売上高/国内トヨタ生産台数)を見ると、08年度の約26万円から、15年度第1四半期(4~6月)には約31万円まで約5万円も上昇している。