「ダメ」では決して解決しない
求められる親のスタンスとは

――こうした兆候をいち早く発見し、子どもがバランスを崩すのを未然に防ぐには、親はどうしたらいいのでしょうか?

 自身がSNSやゲームをやらない親ほど「そんなことは止めなさい」と、頭ごなしに禁止する傾向にありますが、これは逆効果です。LINEやオンラインゲームに過度にのめり込むのは、リストカットと同じように、一種の依存症です。何か、根本の問題があるのに、それを解決しないまま依存だけを禁止すれば、本人は余計に辛くなってしまいます。依存は確かに良い状態ではありませんが、本人からすれば、何かに依存をすることで、心のバランスを取っているのですから。

 また、「LINEでいじめられている」と子どもが打ち明けたときに、「止めてしまえばいい」と言ってしまえば、子どもはさらに追いつめられます。そもそも、子どもが困りごとを親に打ち明けるときは、すでに本人は切羽詰まっているという状態です。子どもは親に好かれたいし、「いい子だ」と思われたいですから、多少のことは相談しないものなのです。

 まずは否定や禁止をせずに、子どもの話をちゃんと聞く。これが大原則です。さらに大切なのは、「親との関係性が子どもにとって満たされるものだろうか」と自問していただくことです。ネットに依存する子どもの多くは、LINEをしながら食事をして、それを親にとがめられて自室に引きこもり、ますますLINEをする、というような悪循環にはまっています。

 リビングは居心地がいいだろうか?親はいつもため息をついていたり、不機嫌ではないだろうか?食事や、何でもない日常会話を一緒に楽しめているだろうか?こうしたことに心を配ってください。親子の接点がしっかりあれば、子どもの異変にいち早く気づくこともできるでしょう。シングルマザーで、子どもと一緒にいる時間が短い場合でも、せめてその短い時間は、温かな愛情が通い合う時間にしてあげてください。

――子どもがいじめられていると知ったら、直接的に解決したいと焦りがちだと思いますが、それも逆効果なのでしょうか。

 もちろん、子どもに状況を聞いて、学校や専門家に相談する、といった具体的な解決に向けた行動も大切ですが、解決しようと焦って子どもに無理強いをしてはいけません。それは近道のようで、的外れなのです。むしろ、親が余裕を持って親子の関係性を大切にすることの方が、遠回りに見えるかもしれませんが、よほど近道です。その上で、必要な手だてを取るべきです。