ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
Close-Up Enterprise

スズキがVWとの提携解消で支払う高い代償

週刊ダイヤモンド編集部
2015年9月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

独フォルクスワーゲン(VW)とスズキの提携解消問題がついに決着を見せた。2011年9月にVWとの提携解消を発表したスズキだが、その後、事態は国際仲裁裁判所での仲裁交渉に発展。4年にわたる泥仕合に終止符が打たれたが、VWから得られるはずだった環境技術の問題は宙に浮いたままだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

VWとの提携解消を発表する鈴木修会長(右)。「これからどうやって自動車業界の中で生きていくか考えていく」と前向きな姿勢を示したが、危機感はあるはずだ Photo by Hidekazu Izumi

 「今般の仲裁判断は、スズキが求めていた通り、フォルクスワーゲン(VW)との包括契約は終了し、VWはスズキ株を返還しなくてはならないという結論になりました。スズキとしても満足しております」

 8月30日の日曜日、記者会見に臨んだスズキの鈴木修会長は、終始うれしそうな様子だった。

 それはそうだろう。支配権を強めようとする独VWに対し、不信感を抱いたスズキが提携解消を発表したのは4年も前の2011年9月。しかし、VWはすんなりとは提携解消に応じず、事態は国際仲裁裁判所での仲裁交渉にまで発展。4年にわたる泥仕合にようやく決着がついたからだ。

 「喉につっかえていた小骨が取れて、非常にスッキリしました」(鈴木会長)

 今回の仲裁判断を受けて、スズキはVWが保有するスズキ株19.9%を全て買い取る。8月31日の終値で計算すると、買い取り価格は約4600億円に上る。

 VWにしてみれば、むしろこのタイミングでの決着は“渡りに船”だったといえる。何しろ、VWにとって最大の“ドル箱”である中国市場で販売減に歯止めがかからず、減産対応に追われているからだ。今年1~7月の新車販売台数では、世界首位の座もトヨタ自動車に奪還された。

 VWがスズキ株を取得したときの金額は約2200億円だから、VWは2倍以上のリターンを得ることになる。VW自身、「スズキ株の売却により、収益の改善を期待している」とコメントしている。

 しかも、VWでは今年4月に内紛が表面化。フェルディナント・ピエヒ監査役会長(当時)が、マルティン・ヴィンターコーン社長の任期延長に反対したことを発端に、ピエヒ会長が辞任する事態に発展してしまったのだ。

 スズキとの提携を決めた09年当時、VW側でこれを主導したのは他ならぬヴィンターコーン社長だ。内紛の渦中にあって自らの非を認めるわけにはいかなかったのか、「スズキに対し、損害賠償を求める権利を得ることにこだわった」(VW関係者)。自分は間違っていなかったという“メンツ”を保つことが必要だったわけだ。

次のページ>> 見劣りする研究開発費
1
nextpage

今週の週刊ダイヤモンド

2017年3月4日号 定価710円(税込)

特集 文系こそ学べ 勝つための絶対スキル データ分析

統計分析 Excel入門 データに強くなる

【特集2】
コーヒービジネス大活況
サードウェーブの次に来る波

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


Close-Up Enterprise

日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?『週刊ダイヤモンド』編集部が徹底取材します。

「Close-Up Enterprise」

⇒バックナンバー一覧