長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉
【第18回】 2015年9月10日 樋口直哉 [小説家・料理人]

長寿の秘訣は週2のゴルフと毎昼のチキンラーメン

 1年後、妻が作っていた天ぷらから発想を得て、油で揚げて水分を取り除くというアイデアにたどり着き、ついにチキンラーメンを発明。日清食品を創業する。その時、彼は48歳になっていた。

「遅い出発ともいわれるが、人生に遅過ぎるということはない。50歳でも、60歳でも新しい出発はある」

 彼が次に見据えたのは世界だった。米国で人々が紙コップに砕いたチキンラーメンと湯を注ぎ、フォークで食べている光景にヒントを得て、カップヌードルを開発する。その普及とともに即席麺は世界に広がり、現在、1年間で消費される量は1000億食以上。彼は世界の食文化を変えたのだ。

 面白いのは「インスタントラーメンは体に悪い」という意見に対して、安藤は誤解だと証明するために毎日、お昼にチキンラーメンを食し続けたこと。そして、96歳という長寿を全うした。死ぬ3日前にはゴルフをし、前日は社員に向けて訓示し、昼ご飯にはお餅を入れたチキンラーメン雑煮を食した。まさに生涯現役、長寿・健康の秘訣を聞かれると「週2回のゴルフと毎日お昼に欠かさず食べるチキンラーメン」と答え、小食であることも心がけていたという。苦しい時も前を向き、死ぬまで仕事。安藤百福が教えてくれる長寿の秘訣だ。

※参考文献/『魔法のラーメン発明物語 私の履歴書』(安藤百福著)

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

樋口直哉 [小説家・料理人]

1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

 


長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉

1日でも長く生きたい――。きっと多くの人が望むことだろう。では、実際に長生きをした人たちは何を食べてきたのか。それを知ることは、私たちが長く健康に生きるためのヒントになるはずだ。この連載では、歴史に名を残す長寿の人々の食事を紹介。「長寿の食卓」から、長寿の秘訣を探る。

「長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉」

⇒バックナンバー一覧