今日できることを先延ばしにしない

「せっかち」であれ!成功する経営者の5つの特徴小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 成功した経営者を沢山見てきて、さまざまな経験をした中から、成功する経営者には5つの特徴があることに、私は気づきました。今までにお話ししたことも一部含まれますが、その点はおさらいする意味も兼ねて、5つの特徴を紹介していきましょう。

 まず1つ目は、「せっかち」であること。成功した経営者の大半は、せっかちなのです。のんびりしている人は、ほとんど見たことがありません。言い方を換えると、「明日延ばし」の習慣を持たないのです。

 さらに、成功する経営者の中でも飛び抜けて上等な人は、内心はせっかちなのですが、それを表には出さず、表面的にはゆったり構えています。でも、その行動を見ると、「今日やれることは今日やっておこう」という考え方が根付いているのがよくわかります。

 戦前に大阪師範学校(現大阪教育大学)で教師をされていた森信三先生が書かれた『修身教授録』という本があります。この本は名著で、私はある経営者に薦められて読みました。その森信三先生の言葉の中で、とても印象に残っているのが「人生は50メートル走」という言葉です。

 どちらかと言えば、長い人生はよくマラソンに例えられます。しかし、人生はマラソンだと思っていると、先は長いなと感じて、「今日はいいか」「明日にしておくか」という気持ちが湧いてきてしまいます。何かをやると決めた時には、50メートル走だと思って全力を出さなければ、実力は上がりません。

 今日できることを、明日延ばしにしないことが大前提です。もちろん、体を壊してまで無理することはありません。しかし、やれることはできる限り今日中にやっておこうとする意識を持つべきです。

 二つ目は、「人を心から褒められる」こと。

 どんな人にも、良い所と悪い所があります。そして、人を心から褒められる人というのは、相手の「良い所」を見ることができる人なのです。逆に、他人をけなしてばかりいる人というのも、稀にいます。そういう人は、相手がやっていること、相手の悪い所ばかりが見える人です。だから、人をけなしたくなります。

 では、なぜ人を褒められる人は、リーダーとして成功できるのでしょうか。

 人を褒められる人は、相手の長所を見つけられる人です。つまり、部下が5人いたら、それぞれが10点満点を取れる長所ばかりを集めて、チームを作ることができます。それぞれの長所を生かしてチームを作れば、どんな仕事にも十分に対応できるのです。