自宅を法人の本店所在地にする最大のメリットは、家賃などの余計な事務所経費を最小限に抑えることです。お客様がどんどんやって来るような職業じゃないのであれば、多額のテナント料を払うことほど無駄な出費はありません。10万円以上も家賃を払うのであれば、パート社員1人雇えてしまいます。できるだけ長い期間、自宅を事務所にして営業することが、稼いだ利益を法人または自分に残すことにつながります。

場所によっては法人をつくれないこともある

 せっかく自宅を事務所にして開業しようと思っていても、実は法令上の制限でできないケースが中にはあります。それは、自宅が市街化調整区域内にある場合です。

 宅造業者が販売した宅地でも、用途地域が市街化調整区域になっているケースがときどきあります。この場合は、開業できる業種に制限があります。事前に市役所などの都市計画課や建築指導課などに相談してみてください。ただし、法人ではなく個人での開業でしたら、可能になる場合もあります。

 実は私の自宅も調整区域だったのですが、もともとこの場所で個人で不動産賃貸業や不動産の管理業を始めていて、それをそのまま法人成りするという説明をしたら、宅建業の許可が出ました。行政によって解釈や判断が異なりますので、このあたりについては注意が必要です。