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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

横浜中華街が色あせた今、中華料理は“銀座”が熱い

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第261回】 2015年9月17日
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 中華料理と言えば、横浜中華街のことを思い起こす方が多いだろうと思う。しかし、実際、中華料理の発信地としての役割を横浜中華街がどうも背負えなくなってしまったようだ。

中華料理といえば横浜中華街と言われていたが…

 ランチタイムの横浜中華街に行くと、固定料金の食べ放題がほとんどだ。基本メニューは似たり寄ったりしている。麻婆豆腐にチンジャオロースー、エビチリにふかひれ、さらにチャーハン、小籠包、ギョーザ、杏仁豆腐。夏になっても冬が来てもメニューはあまり変わらない。そしてどこの店頭でも巨大な肉まんを売っている。

 値段の安さに経営の重きを置いたせいか、肝心な味はとても評価できない。2007年の時点で、私はすでに全国紙に、「日本最大のチャイナタウン・横浜中華街に行くたびに、ある不満が膨らむ」とその味への不満をぶつけた。

 もうひとつの不満は中華料理の発信地としての役割を放棄してしまったことにある。「小籠包、刀削麺、火鍋……。近年、日本で認知されつつある新中華料理のどれを見ても、横浜が発信地にはなっていない」と切り込んだ。

横浜中華街の失墜を横目に
銀座が新たな発信地に

 中秋の節句が近づいたこの頃、在日中国人社会では、「鮮肉月餅」と呼ばれるお肉の月餅が人気を呼んでいる。日本人にとっては馴染みが薄い商品かもしれないが、在日中国人のなかでは郷愁を覚える対象となっている。

 こうした市場ニーズを目ざとく見出した東京都内の一部の中華レストランがその焼きたての鮮肉月餅を中秋の節句のお祝いとして常連客に配ったりする動きも見られる。

 しかし、こういった中華料理をめぐる新しい動きに、横浜中華街はついていけず、情報発信において完全に遅れてしまった。

 こうした問題を目にした私はついに堪忍袋の緒が切れてしまい、かなり前から横浜中華街に消費者としての不満をぶつけてきたのだ。

 一方、横浜中華街の失墜ぶりを横目にして、新しい中華料理の発信地の地位を固めつつあるエリアがある。池袋と銀座だ。多国籍的雑踏さを特徴とする池袋の中華料理については、また別途、機会を設けて語りたいが、今日は私の個人体験を中心に銀座の最新中華料理事情に触れてみたい。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


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地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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