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「グレートカンパニー」の条件
【第7回】 2015年9月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
リッチ・カールガード,野津智子 [翻訳家]

ダイバーシティは会社の業績を悪化させる?

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『フォーブス』誌発行人を務め、連続起業家でもあるリッチ・カールガードは「成功し続ける企業」の5つの条件を、ウォール街からシリコンバレーまで全米企業への徹底取材から明らかにした。本連載は『グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件』からそのエッセンスを紹介する。第7回は安倍政権が「女性の活躍推進」を掲げ、日本企業にとっても喫緊の課題「ダイバーシティ」がテーマだ。

ダイバーシティはチームに悪影響を与える?

 アメリカでもほかの国でも、職場が多様性を増してきているのは明らかだ。それはよいことである。人口動態の変化によって、また女性やマイノリティによる公民権の獲得によって、昔とは比べものにならないほど多様な組織が生み出されているのだ。

 思うに、これによって、チームに多様性があればすぐさま、知識を相乗的に増やしたり情報を共有したりできるようになり、結果として創造性が高まる、ひいてはチームの業績が上がるという強い思い込みが、研究者の間にも一般の人々の間にも広まってきているのではないだろうか。

 しかし研究調査では、人種・民族や性別の多様性がチームの業績にプラスの効果を確実にもたらすことが明らかにされていないのだ。実際、MITスローン経営大学院(通称MITスローンスクール)のトーマス・コーチャン教授の受賞した論文では、ダイバーシティに関する問題はいまだに予算が充てられるのが難しい状況だ、と結論が下されている。

 五年にわたる研究調査に基づき、コーチャンとそのチームは次のように言いきった。「多様性が組織のなかで果たす役割を人々があまり意識していない場合、人種や性別が多様であっても、取り組んでいる仕事の業績に好影響はとくにないことがわかった」

 実は、ダイバーシティはチームのコミュニケーションによくない影響をもたらす場合があることが、多くの研究によって明らかにされているのだ。多様であるせいで、業績が低下したりチームメンバーの満足度が下がってしまったりする可能性もある。別の言い方をすれば、チームメンバーが仕事にもたらすさまざまな見方や行動、態度、価値観が、共有することに悪影響を及ぼす可能性がある、ということだ。

 結果として、すぐに不協和音が生じる。すると、多様性を持つチームをリードしたり、そういうチームと一緒に仕事をすることが難しくなる。必然的に、可能性を引き出したり一人ひとりの能力を最大限に活用したりする力が不可欠になる。

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リッチ・カールガード [フォーブス誌発行人]

 

『フォーブス』誌発行人、人気コラムニスト。アントレプレナーとしても数多くの起業を成功させている。ベンチャー投資家。2004年に刊行された『Life2.0』は『ウォールストリート・ジャーナル』紙でビジネス書・ベストセラー・リストに入った。起業家としては『アップサイド』誌や、ガレージ・テクノロジー・パートナーズ社、チャーチル・クラブを共同で創設している。アーンスト&ヤング社のアントレプレナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。スタンフォード大卒。シリコンバレー在住。

 

野津智子 [翻訳家]

 

獨協大学外国語学部フランス語学科卒業。主な訳書に『リチャード・バンドラーの3日で人生を変える方法』(ダイヤモンド社)、『仕事は楽しいかね?』(きこ書房)、『チームが機能するとはどういうことか』『シンクロニシティ[増補改訂版]』(ともに英治出版)、『夢は、紙に書くと現実になる! 』(PHP研究所)、『外資系キャリアの出世術』『スタンフォード・インプロバイザー』(ともに東洋経済新報社)などがある。


 


「グレートカンパニー」の条件

『フォーブス』誌発行人であり、連続起業家・人気コラムニストでもある著者が、シリコンバレーからウォール街まで全米企業を徹底取材!フェデックス、SAP、ネストラボ、スペシャライズド……本連載では、現代において生き残る「成功し続ける」企業の強さの秘密が明らかにしていきます。コストやサプライチェーンといった「数字」で表すことのできる要素以外の部分にこそ永続企業の競争優位は存在するのです。

「「グレートカンパニー」の条件」

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