「一発当てちゃった」企業続出で
節税商品が大人気

 これまで、富裕層が頼っていた節税策が次々と封じ込められ、「個人向けは取れる手段が限られてきた」と税理士たちは嘆いている。そんななか、法人向け節税策は、まだまだある。そして今、アベノミクスや東日本大震災関連の復興特需で、一時的に大きな利益を出した中小企業経営者たちに、節税商品が大人気だ。

アベノミクスで儲かりすぎた!<br />企業が殺到する節税商品個人向けは封じ込められた節税策が増えたが、法人には、まだまだ取れる節税手段がたくさんある

 たとえば「逓増定期保険」と呼ばれる生命保険商品。詳しい仕組みの説明は省くが、払い込む保険料の半分程度を損金として計上できる。そして、4~5年後に解約すれば、掛けた保険料の9割以上が戻ってくる仕組みだ(損金計上の比率や解約ルールは商品によって異なる)。

 むろん、解約時には収入が入ってくるわけで、厳密には「節税」ではなくて「税金の繰り延べ」でしかなく、解約時には税金を納めなければならない。

 しかし、一時的に収益が上がってしまったが、普段は儲かっていない会社の場合、「解約をする年までのあいだ、赤字にしておいて、繰越欠損金(9年以内の欠損金を繰り越せる)を、払い戻しの年の決算にぶつければ、税金を払わずに済む」(税理士)というわけだ。また、退職金の支払いなど大きな出費が見込まれる年と、解約の年を合わせることも、有効な利用方法だ。

 つまり、ある年に「一発当てちゃった」という会社が節税するのには、もってこいの商品なのだ。アベノミクスの波に乗って投資をし、大儲けした会社はもちろん、復興需要で大きな収入を得た建設関係企業、さらには爆買いでいきなり儲かるようになったおみやげ屋などが、こうした節税商品を次々に購入しているのだという。

 それだけではない。法人税は段階的に引き下げられる方針だから、税金を繰り延べることで、将来の低い法人税率を享受したい企業にも人気だ。