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「グレートカンパニー」の条件
【第11回】 2015年10月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
リッチ・カールガード,野津智子 [翻訳家]

F1に「マネジメント」を学ぶ?
データとレーサーのどちらを信用するべきか

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『フォーブス』誌発行人を務め、連続起業家でもあるリッチ・カールガードは「成功し続ける企業」の5つの条件を、ウォール街からシリコンバレーまで全米企業への徹底取材から明らかにした。本連載は『グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件』からそのエッセンスを紹介する。第11回のテーマは「F1にマネジメントの真髄を学ぶ?」だ。

F1はレース中にも膨大なデータを分析することで、各チームは0.01秒でも差をつけようとしている。多種多様なデータと、搭乗するレーサーの感覚――ときに相反する両者をどうマネジメントするのか。

 データを信じるのか、レーサーを信じるのか

 私は2013年の終わりに、テキサス州オースティンで行われたF1グランプリでカルテンボーン(ザウバーCEO)に会った。

 私が興味を惹かれたのは、F1チームがいかにテクノロジーを駆使して車を──数百万ドルする新車を、シーズンごとに──設計しているかという点だった。レース中の調整にデータが果たす役割についても目を見はった。

 ザウバーのF1レースカーに使われる小さな2.4リッター8気筒エンジンは、1分間に最高1万8000回転にまで達する。エンジンは壊れるぎりぎりのところに常にあり、そのためリアルタイムでデータを得ることが不可欠なのだ。

 これはタイヤの選択、温度、空気圧、サスペンション調整、ウィング調整など、パワーを生み出したり、路面に触れたり、風をはねのけたりするあらゆる部分でも同様である。各グランプリのレースコースや天候によっては、変わりやすさはいよいよ増す。

すべてのトラック、すべての天候に対して最適な調整の組み合わせがあるが、調整を要するものの組み合わせパターンは膨大で、どんな人であれ最適にすることはおよそ不可能だ。そのため、センサーやコンピュータや分析がF1チームにとって不可欠になっている。

 このことについて元F1ドライバーは次のように説明した。

 「たとえば私が一周ごとにターン4で0.2秒ずつ遅れていることをデータが示しているとしよう。その情報はピットチームから無線で送られ、私のイヤホンに届く。誰もがそのことを知っている。ではどう対応するのが適切か。ターン4で0.2秒速くなるよう私は努力すべきなのか。いや、それはできない。なぜなら、私の指先と、つま先と、経験と勘、そのすべてが、すでに私が限界に達していることを告げているからだ」

では誰が、あるいは何が、1周ごとに失われた0.2秒に対して責任を負うのだろう。

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リッチ・カールガード [フォーブス誌発行人]

 

『フォーブス』誌発行人、人気コラムニスト。アントレプレナーとしても数多くの起業を成功させている。ベンチャー投資家。2004年に刊行された『Life2.0』は『ウォールストリート・ジャーナル』紙でビジネス書・ベストセラー・リストに入った。起業家としては『アップサイド』誌や、ガレージ・テクノロジー・パートナーズ社、チャーチル・クラブを共同で創設している。アーンスト&ヤング社のアントレプレナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。スタンフォード大卒。シリコンバレー在住。

 

野津智子 [翻訳家]

 

獨協大学外国語学部フランス語学科卒業。主な訳書に『リチャード・バンドラーの3日で人生を変える方法』(ダイヤモンド社)、『仕事は楽しいかね?』(きこ書房)、『チームが機能するとはどういうことか』『シンクロニシティ[増補改訂版]』(ともに英治出版)、『夢は、紙に書くと現実になる! 』(PHP研究所)、『外資系キャリアの出世術』『スタンフォード・インプロバイザー』(ともに東洋経済新報社)などがある。


 


「グレートカンパニー」の条件

『フォーブス』誌発行人であり、連続起業家・人気コラムニストでもある著者が、シリコンバレーからウォール街まで全米企業を徹底取材!フェデックス、SAP、ネストラボ、スペシャライズド……本連載では、現代において生き残る「成功し続ける」企業の強さの秘密が明らかにしていきます。コストやサプライチェーンといった「数字」で表すことのできる要素以外の部分にこそ永続企業の競争優位は存在するのです。

「「グレートカンパニー」の条件」

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