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社長! 御社は銀行からまだまだおカネを借りられますよ!
【第6回】 2015年10月16日
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村上浩

信用保証協会の保証を受けやすくする方法
中小企業のための銀行対策(6)

中小企業の社長・経理担当者のみなさんは、融資の相談をする際に金融機関から「信用保証協会の空き枠を確認してから……」と言われたことはないでしょうか。今まで150社以上の「破たん懸念先」の中小企業に融資を受けさせてきた再生コンサルタントの村上浩氏によれば、「あること」をすると、信用保証付融資を受けやすくなると言います。その「あること」とは何でしょうか。

銀行は競ってでも
「信用保証付融資」を増やしたい

 ご存じの方も多いかもしれませんが、金融機関は、中小企業から融資の相談・申し込みを受けると、信用保証協会付けで取り扱いができないかを第一に考えようとします。

 言い換えると、信用保証協会の保証がつくのであれば、ほぼ無条件で融資案件を取り上げようとする傾向があります。万が一、貸し出した融資金が回収不能になっても、債務者(中小企業)に代わって、信用保証協会が金融機関に融資金の残金を返済してくれるからです。他行と競ってでも残高を増やしたくなる優良資産と言えるでしょう。

 近年では、「保証が付いていれば無条件で貸してもよい」との風潮を嫌って、金融機関と信用保証協会が一定割合の信用リスクを共有する「責任共有制度」が始まりました。しかし、依然として信用保証付融資の優位性は高いままです。中小企業からすれば「どうすれば保証を受けやすくなるのか」を知っておいて損はないでしょう。

 みなさんは、取引金融機関に融資を申し込む際、窓口担当者から「信用保証協会に打診して、保証の空き枠を確認してご連絡します。融資量は、そのあとに相談しましょう」と言われたことがあるかと思います。

 信用保証協会との交渉結果はたいてい金融機関から「また聞き」の形で聞かされます。満足いかないとしても、提案された条件をそのまま受け入れることが多いのではないでしょうか。

信用保証協会の審査担当者に
直接「保証空き枠」を確認できる

 そこでおすすめしたいのは、信用保証協会の担当者と直接会って話を聞くこと。都道府県ごとの信用保証協会のウェブサイトを見れば、担当地域の説明と相談窓口の案内がありますので、実は簡単に連絡をとることができるのです。

 審査担当者と直接面談し、自社の保証空き枠(金額)はもちろん、新規保証を受けるための条件も直接聞き出すことが可能です。そうすれば、今後の対策も立てやすくなるでしょう。

金融機関が協会に確認したことのすべてを、中小企業に伝達しているとは限りません。担保条件などは最たるもの。信用保証協会はメイン行に「御行が押さえている担保順位を劣後(後退)すれば、新規保証を考えてもよい」と伝えていたのに、メイン行は中小企業に「保証協会の保証枠はいっぱいで、新規保証の余地はないとのことでした」と伝えていた、という事例もあります。ぜひ面倒だと思わず、一度信用保証協会と会ってみることをおすすめします。

もし代位弁済を受けたら
破たんするしかないのか

 信用保証協会について、中小企業の社長の方から以下のような質問をよく受けます。ずばり「信用保証付貸出が代位弁済(代弁)されると、事業は継続できなくなるのか」です。

答えは「ノー」「代弁」イコール「経営破綻」ではありません。そういう状況のなかで事業を継続し、劇的な業績改善を成し遂げた企業もあります。

 万が一代弁された場合、中小企業はどうなるのでしょう。事務的な話をすると、金融機関への返済が3ヵ月滞ると、信用保証協会への「事故報告」対象となります。

 金融機関の担当者が来社したり、代表者が呼びつけられたりして、延滞解消見込みや、今後の業績・資金繰り見込みを聴取され、信用保証協会宛ての「事故報告」に記載されます。

 報告を受けた信用保証協会は、金融機関担当者や、場合によっては保証先企業経営者とも直接交渉して、リスケなどの金融支援によって「延滞解消が可能なのか」「代弁は避けられないものなのか」を検討します(「代弁調整」)。しかし、この調整段階に上がってくる企業の80%は、そのまま代弁されます。

代弁が行われても
担保が処分されるとは限らない

 代弁請求が決まると、金融機関の格付けは「実質破たん先」になります。当該企業と連帯保証人(代表者)の預金相殺が実行され、当座預金は、約款により強制解約させられます。中小企業にとっては、資金繰り上、非常に痛いペナルティとなります。

 代弁後も事業を続けるには、仕入れや支払いに手形を使わないで済ますことが望ましいといえます。担保提供している(根)抵当権は、金融機関が実行(競売申立など)するか、または信用保証協会へ担保権移転の手続きが取られます。移転された担保権が実行されるかどうかは、代弁後に信用保証協会との約束が履行できるか次第です。

 しかし、そもそも信用保証協会は、中小企業の金融を円滑ならしめるために存在する機関です。そのような背景もあって、少額返済であっても、誠実・真摯に経営に取り組み、一定の雇用や納税をしつつ経営改善に努力している企業の担保処分に、積極的に動くことは少ないようです。

 代弁されたのにもかかわらず「かえって資金繰りが楽になった。銀行さんと取引している間は、毎月発生利息だけでも50万円ずつ返済していたが、今は信用保証協会に30万円の返済で勘弁してもらっている」というような声を聞くことがあります。誠実・真摯な経営姿勢を債権者に認めてもらったうえで、資金繰り支援のため「暫定措置」として返済金額の減額を了解してもらったケースです。

 目先の資金繰りに追われている社長からすれば、金融関連の支払いが猶予されることでもあり、歓迎されるというのもわかる気がします。一方で、代弁後の融資残には、理論上年利14%超の損害金が加算されていくことになるのですが......。

 とにかく、代弁されたからといって、事業継続を諦める必要はまったくありません。多くの事業者が、代弁後も事業を続けている事実を知っておいてください。

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村上浩(むらかみ・ひろし)

株式会社リンクス代表取締役。
1985年大学卒業後、足利銀行に20年間勤務。17年間、複数の本支店で融資、債権回収業務に携わる。回収業務では、ゼネコンを中心にバブル期に大量に貸し付けた資金を回収した。
2002年、足利銀行がデフォルトを起こす直前、取引先の再生支援を目的に新設された「企業支援部」に配属、様々な再生手法を学ぶ。当時の栃木県は、企業再生件数が東京都に次ぐ(日本)国内2位であり、県内の地方銀行2行のうち1行、信用金庫10行のうち5行が国有化・統合された。そのような特殊な環境下で、中小企業の再生業務の経験を積む。
足利銀行デフォルト後も融資実務に携わるが、取引先再生支援の判断を機械的なスコアで決めることに違和感を覚える。貸出額10億円未満の中小・零細企業も事業再生の機会を与えられるべきだとし、企業支援部時代の同僚と、再生コンサルタント集団「リンクス」を2006年に創業。クライアントの半分が「破たん懸念先」か「実質破たん先」のどちらかという過酷な環境の中、200社以上のうち150社の再生に成功。産経新聞、日本経済新聞(栃木版)などメディア掲載多数。


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